白ナンバー車の営業車・社用車をもつ法人必見!アルコールチェック義務化の内容や対応について解説!

2022年4月1日、改正道路交通法施行規則(以下、改正道交法)が施行され、白ナンバーもアルコールチェックが義務化されました。トラックやタクシーでのアルコールチェックは既に義務化され広く実施されていますが、白ナンバー車の営業車、社用車を保有する企業や、配達を行なう事業者ではアルコールチェックの実施は少なかったのではないでしょうか?
忘年会、新年会など年末年始は飲酒の機会も増加します。勤務中に飲酒し事故を起こすことは言語道断ですが、前日の飲み会のお酒が残ってしまい、飲酒運転が発生してしまう危険性もあります。万が一、事故を起こした場合、企業側には厳しく責任が追及されます。何より、尊い人命を奪うことになりかねません。
そういった事態を避けるため、いま一度、改正道交法でどういった項目が追加されたか、どういった対応をすべきかなどをおさらいします。

  • 2022/12/16 公開

目次

  1. 1. 白ナンバー車とは?
    1. 道路運送車両法とは?
    2. ちなみに緑ナンバーとは?
  2. 2. 義務化延期?猶予?4月から始まった改正道交法の現状、10月からの変化
    1. 改正道交法での変更点をおさらい
  3. 3. 安全運転管理者の役割(再確認)
    1. 主な業務
    2. 安全運転管理者が実施する確認事項(1年保管)
  4. 4. 飲酒運転での企業損失について
  5. まとめ


1. 白ナンバー車とは?

日本では、道路運送車両法により自動車登録番号票(ナンバープレート)の色や様式が定められています。
白ナンバーとは、一般的に白プレートに緑文字のものをいい、自家用車・商用車としての利用が多い普通・小型自動車、および大型特殊自動車につけられるナンバープレートになります。
法人の場合は自社の荷物や人員を「無償で運搬」する車両になります。具体的には、営業担当者が営業活動に使う社用車、自社で製造した商品などを取引先へ運ぶ配送用の車両などが含まれます。
2022年4月より、白ナンバーを5台以上もしくは定員11人以上の車を1台以上使う事業所に対し、運転前の点呼・アルコールチェックを義務化する改正道路交通法施行規則が順次施行されることになりました。



道路運送車両法とは?

道路運送車両法とは、自動車の安全性を確保し、その適正な使用を期するため自動車の登録と検査の制度を設けるとともに、自動車の整備及び整備事業等について規定されています。

  1. 自動車についての所有権の公証を行う
  2. 自動車の安全性の確保、及び公害の防止その他の環境保全並びに整備についての技術向上を図る
  3. 自動車の整備事業の健全な発達に資することにより、公共の福祉を推進すること

※余談ですが、道路運送車両法は、法律第百八十五号とし、昭和26年6月1日に、当時の吉田茂内閣総理大臣時に交付されたようです。



ちなみに緑ナンバーとは?

緑ナンバーとは、緑プレートに白文字のものをいい、費用をもらって他社の荷物や人員を運搬する事業者用の車両になります。旅客(利用者)や貨物を有償で運ぶことを目的としており、タクシーや運搬トラックなどが該当します。緑ナンバーを取得するためには様々な条件があります。 緑ナンバー事業者におけるアルコールチェック義務は2011年からスタートしており、アルコール検知器を使用した運転者の酒気帯有無の確認が義務化されております。



2. 義務化延期?猶予?4月から始まった改正道交法の現状、10月からの変化

2022年4月から開始しているアルコールチェック義務化において、10月から施行予定であったアルコール検知器の使用義務化の延期について、警察庁より正式発表がありました。アルコール検知器が市場に流通する見通しが立たないため当面延期(時期は未定)とのことです。警察庁の考え方として、十分な数のアルコール検知器が市場に流通するようになる見通しが立った時点で、再度、道路交通法施行規則を改正し、できるだけ早期に適用したいとのことです。また警察庁より「既にアルコール検知器を入手することができた事業所にあっては、法令上の義務ではないが、これを用いた運転者の酒気帯びの有無の確認を行なっていただきたい」とのコメントもあります。



改正道交法での変更点をおさらい

2022年4月から順次施行されている改正道交法では、以下の内容が変更されております。

  • <2022年4月>
    安全運転管理者に対して、①目視等により運転者の酒気帯の有無の確認を行うこと②その内容を記録として1年間保存することが義務付けられました
  • <2022年10月>
    安全運転管理者に対して、③アルコール検知器を用いて運転者の酒気帯の有無の確認を行うこと④アルコール検知器を常時有効に保持することが義務付けられました

★しかしながら、アルコール検知器の供給が追い付かないなどがあり、③④のアルコール検知器の使用義務化は、上記で述べたように当面延期しています。



<2022年10月からの罰則強化>

安全運転管理者の各種業務を怠ると違反とみなされ罰則が与えられる場合があります。10月より罰則が強化されておりますのでご注意ください。

10月からの罰則強化

  • 安全運転管理者および副安全運転管理者の選任義務違反や安全運転管理者の解任命令違反
    5万円以下の罰金 ⇒ 50万円以下の罰金に引き上げ
  • 安全運転管理者等の選任解任届出義務違反
    2万円以下の罰金 ⇒ 5万円以下の罰金に引き上げ
  • 安全運転確保のための是正措置命令違反
    50万円以下の罰金(新設)

近年、企業における安全運転管理は、より一層重要度を増して厳格さが求められております。



3. 安全運転管理者の役割(再確認)

主な業務

  • 運転者の状況把握
  • 安全運転確保のための運行計画の作成
  • 長距離、夜間運転時の交代要員の配置
  • 異常気象時等の安全確保の措置
  • 点呼等による過労、病気その他正常な運転をすることができないおそれの有無の確認 と必要な指示
  • 運転者の酒気帯びの有無の確認
  • 酒気帯びの有無の確認内容の記録・保存
  • 運転日誌の備え付けと記録
  • 運転者に対する安全運転指導

安全運転管理者が実施する確認事項(1年保管)

  1. 確認者名
  2. 運転者
  3. 車両ナンバー
  4. 確認の日時
  5. 確認の方法(アルコール検知器の使用の有無、対面でない場合は具体的な方法)
  6. 酒気帯びの有無
  7. 指示事項
  8. その他必要な事項


4. 飲酒運転での企業損失について

社員が飲酒運転を起こした場合、行政処分は非常に重く、企業にとっては大打撃となる恐れがあります。道路交通法第75条において、自動車の使用者や自動車の運行の管理を行う者は、飲酒運転などを命令したり容認したりしてはならないと定められています。これに違反した場合には、命令・容認した事業者や運行管理者は懲役などの処分を受けます。

主なケース 行政処分
事業者が飲酒運転を下命、容認していた場合 14日間の事業停止
飲酒運転などを伴う重大事故を起こし、事業者が飲酒運転に係る指導監督義務を違反した場合 7日間の事業停止
事業者が飲酒運転に係る指導監督義務を違反した場合 3日間の業務停止
酒酔い・酒気帯び運転があった場合 (初違反)100日間の車両使用停止
(再違反)200日間の車両使用停止

行政処分により、会社の機能がストップするだけでなく、飲酒運転は会社のイメージを著しく悪化させ、顧客からの信用を失うだけでなく社会的な信用も失墜し、経営破綻につながる可能性もあるということになります。
普段からの安全運転業務の推進はもちろんのこと、万が一事故を起こしてしまった場合の責任や罰則について理解しておくことも必要です。安全運転管理者がうっかり見落としがちなポイントから考えられる違反行為と罰則については下記コラムにてご紹介します。



まとめ

今回の法改正で就業規則、運転規則等の変更を行った事業者も多いのではないでしょうか?変更を行った場合は、改めて社員への周知徹底を行ってください。アルコール検知器の使用義務化は延期になっておりますが、アルコール検知器の使用も、確保できたらすぐ開始するべきです!
アルコールチェックを適正に運用するためには、会社が適切な頻度で、チェックの実態を抜き打ち検査することが必須です。事故が発生したときは、飲酒運転の有無に限らず、運転日誌、記録簿の提出を求められることもあります。しっかりとしたデータ管理することで、飲酒運転撲滅に関する業務を削減することも可能です。
弊社でも飲酒運転撲滅に向けてアルコールチェック管理サービス『スリーゼロ』を4月より開始しております。さまざまなアルコール検知器に対応してアルコールチェック実施管理ができるサービスです。飲酒運転撲滅の一躍になれればと願っております。

年末年始は飲酒の機会も増加します。今回の法改正の対象事業者に限らず、対象外の事業者においても、飲酒運転に関して意識を高めていただければ幸いです。

担当M.T.



監修者 宇徳 浩二(うとく こうじ)

2002年シャープ入社。携帯電話のソフトウエア開発部門にて、スマートフォンのシステム開発等従事。
その後、AIソリューションの開発責任者として、シャープのAIoT(AI+IoT)のAI開発をけん引。
2022年AIoTクラウドにてプロダクトマネージャーに就任し、アルコールチェック管理サービス『スリーゼロ』、WIZIoT(ウィジオ)遠隔監視サービスなどのSaaSサービスのプロダクトを創出。
AI、IoTを活用したソリューションやサービスに携わる者として、社内外の講演、セミナーに登壇をするなどAI、IoT、SaaSビジネスに関して発信している。

宇徳 浩二