最近よく耳にする「2024年問題」。
2024年4月1日より施行された働き方改革関連法により、物流業界や建設業界等の特定業界において、時間外労働の上限規制の適用が始まりました。
労働者の健康と安全を確保する一方で、深刻な労働力不足が見込まれます。
その影響は、産業活動に留まらず私たちの日常生活にまで、日本社会全体に様々な影響を及ぼします。
今回は、いよいよ現実のものとなった「2024年問題」をテーマに、以下の切り口で解説していきます。
- 2024/04/17 公開
- 2024/5/20 更新
目次
1章 働き方改革が目指すもの
まず、働き方改革の目的をご紹介します。
厚生労働省「働き方改革関連法に関するハンドブック」によると
働き方改革の目指すもの
「働き方改革」は、働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにする ための改革です。 日本が直面する「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」、「働く方々のニーズの多様化」などの課題に対応するためには、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境をつくることが必要です。 働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現することで、成長と分配の好循環を構築し、働く人一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指します。
日本は少子化が進む、超高齢化社会です。そのため、労働者の高齢化による働き方の変化や介護・育児をしながらの就業等、一人ひとりの状況に応じた多様な働き方に、企業と社会が柔軟に対応していく必要があります。
このように、働く人々が個人の事情に応じた多様な働き方を自ら選択できるような労働環境を実現するために「働き方改革」があり、働き方改革関連法があります。
2章 働き方改革の【時間外労働の上限規制】について
多くの業界の企業では、「時間外労働の上限規制」を超えて従業員を働かせてはいけません。
労働基準法に定められている労働時間は原則1日8時間・1週間40時間です。
1日8時間・1週間40時間を超過する労働が「時間外労働」であり、実は労働基準法により原則禁止とされているのです。
2024年4月1日からは、時間外労働の上限規制が<運送・物流、建設、医療>も追加で適用対象となります。今まで2019年から5年間、長時間労働が常態化しているこれらの業界・職種では、準備期間として特別に猶予されていました。
時間外労働の上限規制適用により、以下の上限を絶対に守らなければなりません。
- 年720時間
- 複数月の平均でいずれも80時間以内(災害の復旧・復興は適用外)
- ⽉100時間未満(災害の復旧・復興は適用外)
上限を超えての時間外労働が発生した場合、法律により罰則として、6ヶ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰⾦が科せられる可能性があります。
働き方改革ではこのほかにも、労働者が自らの意思による年次有給休暇の取得を促す【年次有給休暇の取得義務化】や、雇用形態による不合理な待遇差を解消する【同一労働同一賃金の徹底】が含まれます。
3章 働き方改革で生じる「2024年問題」とは何か
長時間労働が常態化しており、時間外労働がやむを得ないケースの多い<運送・物流、建設、医療>も、今年度からは時間外労働の上限規制が適用されることを前章で紹介しました。
しかし、長時間労働が常態化するというのは、慢性的な人手不足が顕著な業界であるということです。法令順守することにより、労働力不足が引き起こす様々な発生することが懸念されています。
●運送・物流の2024年問題
物流機能の麻痺する可能性が指摘されています。これにより、私たちの日常生活では「配送料の値上げ」や物流コストの上昇に伴う「価格の高騰」、物流の遅延による「サービスの低下」が懸念されます。
産業活動全体においても、輸送能力の低下や物流コストの上昇によって、事業に支障を来す可能性があります。
●建設業の2024年問題
以前から指摘されている人手不足がより深刻化し、人件費の増大が予想されます。
長時間労働を前提とした、短工期の完工を行う請負契約が禁止されます。
また、物流の2024年問題による資材の高騰も追い打ちをかけ、建設業の経営圧迫が見込まれます。
詳しくは、以下の記事をご確認ください。
【建設業界の2024年問題】カギとなるポイントを解説
●医療の2024年問題
人手不足により、救急のたらい回しや手術の待ち時間の長期化等、命に関わる状況での医療の供給が滞る可能性が指摘されています。
4章 「2024年問題」の対策
時間外労働の上限規制適用に伴う労働力不足によって引き起こされる諸問題を「2024年問題」と言い表し、その影響は日本社会全体に及ぶことが分かりました。
では、「2024年問題」にどのように対策していくかのご紹介です。
【労働条件・労働環境の見直し】
今回の法改正のねらいは、建設現場の施工管理・技術職等やドライバー等、長時間労働が常態化している業界の労働環境を整え、人材の確保と定着につなげることです。
まずは、労働条件と労働環境の見直しが必要不可欠だと考えます。
時間外労働が制限されることにより、ドライバーは残業手当が減少し、今までよりも収入が減る場合があります。これによって、ますますのドライバー人材の流出が予想されています。
給与の見直しや福利厚生の充実を図り、人材の流出を防ぎ、労働力の確保をすることが大切です。
【業務効率化】
具体的な対策方法は各企業の状況や業界特性にもよりますが、弊社では2024年問題に直面する現在の産業活動の中で、「業務効率化」を最も優先して取り組むべきキーワードだと考えています。
人手不足のなか生産性を高めるためには、現場で働く労働者一人ひとりの業務効率化に努めることが必要不可欠です。
ICTツールの導入・活用が有効です!
CTツールとは、データ収集や分析、管理、情報共有を助けるデジタルツールのことを指します。
ツールを導入し、作業の自動化やデジタル化を図ることで、業務効率化やコミュニケーションの改善が期待できます。
ICTツールの例として「勤怠管理サービス」や「ビジネスチャット」があります。
例えば、「勤怠管理サービス」を利用することにより、手作業の勤怠報告・紙管理から、デジタル化することにより、データを一元管理することができます。これによって、より正確に記録・管理し、法令遵守につなげられます。
また、「ビジネスチャット」を利用することで、離れた場所にいてもリアルタイムでの情報のやり取りやコミュニケーションが可能です。
特に労働者の人数が多く、直行直帰の多い建設業界では、ICTツールをうまく組み合わせて、企業の特性や状況に合わせて活用しているところが非常に多いです。
ICTツールの活用により、作業一つ一つの効率化や管理の手間の削減に一助となるだけでなく、仕事をする場所や時間に捉われずフレキシブルに働くことが可能になりました。
「企業として<業務効率化>を行い、労働者の多様で柔軟な働き方を提供すること」が、人材の流出防止や労働力確保につながり、「2024年問題」解決の糸口となるでしょう。
弊社では、2023年12月に義務化されたアルコールチェックのクラウド管理のサービス『スリーゼロ』を提供しており、日々のアルコールチェックと管理の業務効率化ツールとして、様々な企業に貢献しております。
クラウド管理のサービスを活用することによって、作業時間を削減できるだけではなく、長期的には管理等の人件費の「コスト削減」にも貢献することができます。
今回の記事は以上です。
「2024年問題」をテーマに、現代の労働環境の課題と対策のポイントを知っていただけましたでしょうか。
「2024年問題」を対策するためには、<業務効率化>が重要なカギになります。
ICTツールを上手に活かして、人材の確保と人件費のコスト削減を目指しませんか?