運転者や管理者が業務中の運転状況を記録するための運転日誌。管理者の中には「運転日報の記載方法や運用手順に不安が残る」という方もいるかもしれません。この記事では、運転日報の記載項目(テンプレート)や運用の流れ、保管期間などを解説。罰則についてお伝えするため、運転日報を正しく運用するために参考にしてみてください。
- 2024/09/18 公開
目次
運転日報とは?基本を理解しよう
運転日報とは、業務中の運転状況を記録する日誌です。運転者と管理者がそれぞれ必要項目を記入します。
運転日報に書く項目は、運行ルートや運転時間、燃料消費量、車両の状態などです。運転者の労働時間や運行ルートを正確に記録することで就業状況を把握し、過労運転を防ぎます。
また、運転日誌は運転中のトラブルや事故の際に重要な証拠となる書類です。企業が運転者の行動を把握して、業務の効率化を図るための重要なツールといえます。
◾️ 運転日報の記録・保管が義務付けられている企業
運転日報の記録と保管が義務付けられている企業は以下のとおりです。
自動車運送事業を営む企業 | 社用車を使用する企業 |
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自動車運送事業とは、バスやタクシーといった客を有償で運ぶ旅客自動車運送業や、トラックなどの貨物自動車運送業が挙げられます。これらの運送業では、運転日報の記録と保管が法律で義務付けられています。
一方、社用車を使用する企業とは、自社商品を輸送する場合や取引先の営業回りなどで使用する車を所有する企業です。社用車の場合は、規定以上の台数を保有している場合にのみ、運転日報の記録と保管の義務が生じます。
◾️ 運転日報には誰が何を記載する?
運転日報には、運転者と運行管理者または安全運転管理者が以下の内容を記載します。
- 運転者:車両の状態や運転中の状況、トラブルの詳細など
- 運行管理者・安全運転管理者:運転者の体調やアルコールチェックの状況など
運行管理者とは、緑ナンバーの自動車運送事業者が運行計画の作成や、運転者の健康状態と酒気帯びの確認、運転者への指導・監督などを行う責任者です。
また、安全運転管理者とは、白ナンバーの社用車を所有する企業が運転者の状況把握や酒気帯びの確認、酒気帯び確認の記録・保存、必要に応じて安全運転に関する社内教育などを行う責任者を指します。
運転日報は、運行管理者または安全運転管理者によって管理されます。
運転日報に記載する必要がある項目とテンプレート
運転日報にはどのような項目を記載するのでしょうか。ここからは、運転日報に記載する必要項目と無料で使えるテンプレートを紹介します。
◾️ 【運送業を営む企業】項目とテンプレート
自動車運送事業を営む企業は、以下の7つの項目を運転日報に記載することが義務付けられています。
- 運転者の氏名
- 乗務にかかるトラックの自動車登録番号
- 業務の開始及び終了の地点及び日時並びに主な経過地点及び業務に従事した距離
- 運転を交替したケースでは、その地点と日時
- 休憩や仮眠をとったケースでは、その地点と日時
- 貨物の積載状況(車両総重量8トン以上または最人積載量5トン以上の大型車)
- 事故、あるいは著しい運行の遅延等が発生したケースでは、その概要と原因
- 経路等の運行指示の内容 等
参考:e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業輸送安全規則(第八条)」
これらの記載項目をテンプレート化したものを公開しているのが、都道府県のトラック協会・安全運転管理者協会などのサイトです。
テンプレートを使用すると、項目を埋めていくだけで簡単に運転日報が作成できます。テンプレートにない項目を記載したいときは、必要に応じて項目を追加してもよいでしょう。
必要な項目を追加しやすいことも考えて、テンプレートはExcelでダウンロードできるものがおすすめです。
〇テンプレート例
- 一般社団法人 神奈川県トラック協会:
業務記録 運転日報 - 一般社団法人 京都府トラック協会:
業務等の記録 運転日報
◾️ 【社用車を保有する企業】項目とテンプレート
社用車を保有する企業では、以下の項目を運転日報に記載します。
- 運転者名
- 乗務の開始日時と終了日時
- 乗務距離
- 運転者の酒気帯び有無
参考:e-Gov法令検索「道路交通法(第二章の四 安全運転管理者等)」
この場合は日本法令が公開しているテンプレートが、シンプルでおすすめです。運転日誌には決められたフォーマットはないので、上記の項目に加えて車両使用前の点検項目やガソリン購入の有無などの項目もあると管理しやすく便利でしょう。
運転日報を運用する流れ
毎日の運用 | 全体的な運用 |
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運転日報は実際どのように運用していくのでしょうか。ここからは、運転日報を運用する流れを具体的に紹介します。
◾️ 出発前の記録
運転者は出発前に以下の項目を点検し、車両に異常がないかを確認して、運転日報に記録します。
【運転者が記載する内容】
- タイヤの空気圧
- エンジンオイル
- ブレーキ
さらに、当日の運行ルートや目的地、出発時間なども記載します。運転者の勤怠実績や体調、アルコールチェックを記録するのは、運行管理者や安全運転管理者です。
◾️ 運転中の記録
運転者は運転中の記録として、燃料消費量や走行距離、休憩時間などを記録します。運転中に異常やトラブルが発生した場合は、異常の内容や発生場所、時間といった詳細も記録しておきましょう。
漏れなく詳細を記録しておくことで、後に何か問題が発覚した場合にスムーズな対応ができます。
◾️ 帰社後の記録
帰社後、運転者は運転中に記録したデータを整理してまとめます。運転中に発生した異常やトラブルについて、もし当時記録していなかったり、思い出したことがあったりした場合は、詳細を記載した上で上司や管理者に報告することも忘れてはなりません。
正確な情報を記録し、共有することが問題の早期発見につながります。
◾️ 日報の保管・管理・活用
運転日報は、法的に一定期間保管する義務があります。また、適切な方法で保管することが求められるため、管理方法を整備し、簡単にアクセスできるようにしておきましょう。ただし、個人情報の取り扱いには十分注意してください。
日報の保管と管理を適切に行うことによって、運行データの分析やトラブル発生時の迅速な対応ができます。以下では、運転日報を保管する業務負担を減らすための管理方法について解説していきます。
運転日報の運用は紙とデータどちらがよい?
運転日報の管理方法は紙とデータがあります。実際どちらが管理しやすく、負担も減らせるのでしょうか。ここからは、紙とデータのそれぞれのメリット・デメリットを解説します。
紙での管理 | アプリ・Excelでの管理 | |
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メリット |
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デメリット |
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おすすめの企業 |
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◾️ 紙で管理するメリット・デメリット
運転日報を紙で管理するメリットは、簡単に導入できることや、特別な機器・ソフトウェアが不要である点が挙げられます。
手書きの記録はすぐに確認でき、システムトラブルの影響を受けません。また、従業員全員が簡単に扱えるため、使い方で迷うことがないでしょう。
デメリットは保管スペースが必要となり、長期間の保存が難しい点が挙げられます。データの検索や集計に手間がかかることや、雑な文字だと読めないなど、非効率な面もあります。さらに、紙の紛失のリスクも考慮しなければなりません。
◾️ アプリ・Excelで管理するメリット・デメリット
アプリ・Excelなどのデータで運転日報を管理するメリットは、データの検索や集計が簡単である点でしょう。運転記録の分析やレポート作成が迅速にできるほか、クラウドサービスを利用すればデータの共有やバックアップも簡単に行えます。
一方、電子的な管理方法には初期導入コストや運用コストがかかる場合がある点はデメリットといえるでしょう。デジタルデバイスの操作に不慣れな従業員がいる場合は、事前のトレーニングも必要です。
また、システムトラブルやデータのセキュリティリスクも考慮する必要があるでしょう。
アプリ・Excelでの管理には多少のデメリットはあるものの、「業務効率化を図りたい」という企業は間違いなくデータでの管理がおすすめです。以下では、運転日報をデータで管理するためのシステム導入についてお伝えします。
運転日報のシステム導入により業務の効率化が図れる!
運転日報の運用において、必要項目の入力やデータの保存・活用などの管理をすべて一元化したシステムを導入すると、業務が効率化できます。
具体的にどのような点が業務効率化につながるのか、以下にまとめました。
- 運転日報の記載ミスが減ってデータの正確性が向上する
- リアルタイムでのデータ収集が可能となり、運行状況を即時に把握できる
- 運転者の手間が減り、負担を軽減できる
- 検索や分析が簡単になり、データを一元管理できる
- データに複数の担当者が同時にアクセス可能になる
以上の点から、システムの導入により業務の負担を大幅に減らすことができるでしょう。
特に、運行管理者や安全運転管理者は責任感が求められる立場であり、業務負担も大きいです。できるところはシステム化してしまうことで、他の大切な業務に時間を割けるようになる点も期待できます。
◾️ 運転日報とアルコールチェック記録簿、まとめて管理がおすすめ!
運転日報とアルコールチェック記録簿を二重で管理している、という企業もあるのではないでしょうか。特に、両者を紙で別管理している場合や、紙とデータという異なる媒体で管理している場合は、管理する際に混乱を招きやすいでしょう。
運転日報に加えて、2022年4月からアルコールチェック記録簿の保管も管理者の義務となった現在、両者を同じシステム上で一元管理できる仕組みを取り入れれば、業務負担をさらに削減できます。
白ナンバー向けのアルコールチェック管理サービス『スリーゼロ』は、運転日報とアルコールチェックが一体化したシステムです(プレミアムプランに限る)。二重管理の無駄を解決できるシステムとしておすすめできます。
たとえば、運転者が出発前にアルコールチェックを行うと、その結果が自動的に運転日報に反映されるため、別途記録する必要がありません。
『スリーゼロ』はクラウドベースのシステムで、インターネット環境があればどこからでもアクセス可能です。遠隔地からでもリアルタイムで運転者の状態を確認でき、迅速に対応できます。
運転回りの業務効率化を目指している企業は、ぜひ一度チェックしてみてください。
運転日報に関してよくある質問
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Q. 運転日報の保管期間は何年?
A. 自動車運送事業者の運転日報の保管期間は1年間です。一方、社用車使用事業者の運転日報に関しては、特に保管期間は定められていません。
ただし、アルコールチェック記録簿の保管期間は1年間となっています。
なお、労働基準法では「労働に関する書類の保管は3年間」と決まっているので、運転日誌も3年間保管しておくのが安全といえます。 -
Q. 運転日報の義務を怠った場合は罰則を受ける?
A. 運転日報の作成・保管を怠った場合の罰則は定められていません。しかし、運転日報の管理は、運行管理者や安全運転管理者の業務と義務付けられています。
そのため、運転日報の作成・保管を怠った場合、業務が果たされていないと見なされ、解任命令や是正措置などが下される場合があります。
これらに従わないと罰則の対象となってしまい、内容によって50万円以下の罰金もしくは5万円以下の罰金を課せられるので注意が必要です。
システム導入により運転日報を管理し、業務の効率化を図ろう
運転日報とは、運転者と管理者が運行ルートや運行時間、車両の状態などの運転状況を記録する日誌です。運転に関する内容を正確に記録することによって、運転者の就業状況や車両の状態を把握できます。
運行管理者・安全運管理者は、運転日報を作成するだけでなく保管する義務も課されているため、日報の保管・管理体制はしっかり整えておくのがよいでしょう。業務効率化を図りたい企業は、運転日報に関するシステムの導入を検討するのがおすすめです。
アルコールチェック管理サービス『スリーゼロ』は、運転日報とアルコールチェックを一体化した管理サービスです(プレミアムプランに限る)。運転者は日々の運転状況の記録をつけられるだけでなく、アルコールチェックも同時にできます。
書類での面倒な管理が不要になるうえ、本人確認や検査漏れの防止も確実に行えるため、業務に関するリスクが減らせるでしょう。運転日報のシステムとしてメリット満載の『スリーゼロ』の導入をご検討ください。
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