【独自取材】ガスセンサー老舗企業が教える、業務用アルコールチェッカーの選び方とは。

アルコール検知器協議会の幹事のおひとりであり、フィガロ技研でアルコール検知器の販売促進業務をご担当されている四方さまに更に詳しいお話を伺いました。 今回のインタビューではアルコール検知器にまつわる企業が陥りやすい法令違反のポイントや、誤検知にお悩みの企業さまの課題解決ポイントなど高精度のアルコール検知器を製造販売しているメーカーだからこそお伝えできるお話を聞いてきました。

  • 2025/01/31 公開

目次

  1. アルコール検知器協議会発足に携わった、フィガロ技研様に独自取材しました!
    1. 「アルコール検知器協議会認定品」とは
    2. 現場では、アルコール検知器の管理運用に課題あり?
    3. アルコールチェッカーを選ぶ際は、有効期限の記載に注意!
    4. アルコールチェッカーの日常点検の方法
  2. アルコールチェック「誤検知の負担」がお客様の課題に。
    1. アルコールチェッカーは購入先の選び方にも注意が必要
    2. フィガロ技研さま解説!アルコール検知器の選び方のポイント


アルコール検知器協議会発足に携わった、フィガロ技研様に独自取材しました!

おすすめのアルコール検知器3選のコラム記事でご紹介したフィガロ技研ALC販売促進部 四方さまに詳しいお話を伺いました。


―― フィガロ技研さまについて詳しく教えてください。

「当社は、世界にさきがけて半導体式ガスセンサーの量産化に成功し、以来各種ガスセンサーの研究開発、応用商品の開発・販売をしています。 みなさんの身近なところですと、家庭用のガス漏れ警報器に多く採用されています。また空気清浄機のにおい検知機能にも当社センサーを多く採用いただいています。センサー搭載商品1つとしてアルコール検知器があります。社会の安全、安心、快適にかかわる領域を事業ドメインとして、事業活動を進めています。」

―― アルコール検知器事業、アルコールチェック義務化に関する取り組みを教えてください。

「アルコール検知器の事業を開始し始めた当時(1990年頃)は、当社で開発したアルコールセンサーを海外に出荷し、海外メーカーが検知器を製造したものを逆輸入していました。当時のアルコール検知器は、業務用というよりはノベルティ、宴会グッズとして販売しておりました。
2002年の飲酒運転高速バス事故、2006年の福岡飲酒事故あたりから、緑ナンバー事業者である企業さまからアルコール検知器の導入の相談が増えてきて、当社のアルコール検知器は業務用の製品へシフトしていきました。そののち、緑ナンバーのアルコールチェック義務化が始まり、2010年よりフーゴシリーズの販売を開始しました。」

―― 早くからアルコール検知器の事業に取り組まれた老舗の一社さまでいらっしゃるという事ですね。

「そうなりますね。2015年には、当社を含めアルコール検知器の製造・販売に携わる企業4社が協力して、『アルコール検知器協議会』を発足しました。飲酒運転による死傷事故が大きな社会問題になる中、過度な飲酒による健康障害も深刻化し、アルコール検知器の役割がますます重要なものになりつつある今日、その技術・品質の向上とともに、飲酒問題への対処・防止に対する正しい知識を啓発しています。


◾️ 「アルコール検知器協議会認定品」とは


―― フィガロ技研さまはアルコール検知器協議会の幹事もされています。アルコール検知器を買う際はアルコール検知器協議会の認定品がよいとの事ですが、それは何故でしょうか?

「アルコール検知器協議会の認定に限らず海外の認定、EN規格(欧州)、DOT規格(米国)の認定品など、一定の性能が担保されているアルコール検知器を選んでいただくのがよいと思います。国家公安委員会認定などを謳っている検知器もありますが、認定制度はなく性能を担保しているものではないので注意が必要です」

―― アルコール検知器協議会の認定品は、品質の担保や保証対応に関しては万全なのでしょうか?

「アルコール検知器の市場が急激に大きくなったことで様々なタイプのアルコール検知器が販売されていますが、アルコール検知器の精度に関して問題が上がっています。また、海外製で品質保証体制が国内にない場合、検知器のメンテナンス対応が遅れたり、故障時の対応がたらいまわしになっているという声が実際にあがっています。このような問題を受け、アルコール検知器協議会では2024年11月に会則を一部見直し、会員資格を「日本国内のアルコール検知器製造に関わる法人事業者で国内に品質保証体制を構築している企業であること。または、同等の体制を有していること。」と変更されました。
アルコール検知器は安心・安全を担保する機器であるため、それほど品質保証体制は重要になってきます。」


◾️ 現場では、アルコール検知器の管理運用に課題あり?


―― アルコール検知器には種類がありますが、どのように最適なものを選べばいいのでしょうか?

「業務の管理として使うなら電気化学式のアルコールセンサーを搭載した検知器がよいですし、健康管理用途であれば半導体式でもいいと思います。会社の規模にもよりますが、1台は電気化学式のアルコール検知器を導入して、半導体式で問題があったときの担保にしておくと誤検知した際の、もう1回はかってみようというのができるので、最低1台は業務用として電気化学式のアルコール検知器をお持ちいただくのがオススメです。」


◾️ アルコールチェッカーを選ぶ際は、有効期限の記載に注意!


―― アルコール検知器を選ぶ際に注意するポイントはありますか?

「検知器メーカーごとに有効期限に関する記載が異なるという点に注意が必要です。言葉の意味を正しく理解し、利用しているアルコール検知器の有効期限を把握する必要があります。
アルコール検知器はセンサーを搭載した機器であるが故に、紛らわしい記載をしていている場合があり『センサー寿命』・『保証期間』・『有効期限』は全く別の意味を指しています。また、その期間は『購入日起点』なのか『生産日起点』なのかでも、有効期限が変わってくるため注意が必要です。
道路交通法で定められている「検知器の有効保持」は、企業・管理者に課せられている義務になります。有効期限を超えて使っていた場合は、有効期限保持義務違反になる可能性があります。」

―― 『センサー寿命』についてわかりやすく教えてください

「センサー寿命とは、アルコール検知器に搭載されているセンサーの寿命で、検知器を使用しない場合でも劣化するため、注意が必要です。電気化学式の場合、ガスセンサーはガスを検知するとセンサーに電流が流れる仕組みになっています。このセンサーはどんどん消費されていくので感度が小さくなっていきます。そこを寿命と定義していて、寿命がくるとセンサーを交換する必要が発生します。」

―― 『有効期限』はどうでしょうか?

「有効期限は、アルコール検知器が正しく使える期間を指します。ここについては、『使用期間』や『使用回数』の2種類を設定されていることがほとんどで、どちらか早い方を迎えた時点で有効期限を超えたものとなります。例えば、『使用期間1年』と『使用回数2000回』のアルコール検知器の場合、1年間で1000回使ったとします。その場合、1000回しか使ってなくても、使用期間が上限に達しているので、そのアルコール検知器は有効期限切れとなります。アルコールチェック義務化対応では有効期限内の機器を使用する必要があり、法令違反に陥らないためにも有効期限をしっかり確認して、機器の更新やメンテナンスの対応をしていただく必要があります。」

―― 『保証期間』はどうでしょうか?

「保証期間はメーカー側で設定していて、アルコール検知器が壊れた際に修理・交換などをしてもらえる期間を指します。保証期間内であっても、故障していることに気づかずまま使い続けると「有効保持義務違反」になります。有効保持について白ナンバーは罰則がありませんが、緑ナンバーでは罰則化されているほど、非常に重要な管理項目になります。」


◾️ アルコールチェッカーの日常点検の方法


―― アルコール検知器の故障を確かめる方法は?

「定期的にアルコールをきちんと検知できるかを確かめる事が大切です。日常点検を意識して日々のアルコールチェックの運用に盛り込んでいただくことがおすすめです。日常点検の実施タイミングとして、毎日確認することが望ましいのですが、少なくとも1週間に1回以上は確認すべきです。アルコールを含有するスプレーやマウスウオッシュを口内に噴霧した上で、アルコール検知器を使用した場合にアルコールを検知されるかを確認します。手間はかかりますが、大変重要なポイントです。
また、機器を保管する環境に関しても注意が必要です。アルコール検知器のガスセンサーは外気の影響を受けてしまいます。例えばシリコン含有のヘアスプレーを近くで使用したり、ペンキを塗っている際に近くに置いてしまったりするとそれらに含まれているガスによってセンサーが被毒して感度が落ちてしまいます。このように身近にあるものが要因で劣化し、壊れてしまう可能性もあるので注意が必要です。」

―― フィガロ技研さまでは、ユーザーが有効期限をまもれるような工夫は何かされていますか?

「はい。当社ではFuGoProではアルコール検知器にロムが入っており、使用を開始するとカウントが始まり1年経つと案内が出てくるようになっています。FUGOsmart、FUGOsmartBTでは購入日を製品の裏にご記載いただけるようにしており、お客様に自身での管理は必要ですが『いつ購入したか』を忘れずにいていただくよう工夫をしています。」



アルコールチェック「誤検知の負担」がお客様の課題に。


―― アルコールチェックを行う上での更なる注意点はありますか?

「誤検知について、注意が必要です。白ナンバー事業様では、半導体不足の影響もあり、とりあえず入手できた海外製の安価なアルコール検知器を使用されている事業所も多いと思います。そういった企業様からアルコール検知器の誤検知について相談をいただく機会が増えてきました。」

―― アルコール検知器の「誤検知」についてユーザーさまからどういった相談が来るのでしょうか?

「ECサイトで購入したアルコール検知器の精度を信用できないというお声を展示会などでよく聞くようになりました。ECサイトの価格をみても、長期保管された在庫品を処分としてたたき売りされている印象があります。アルコール検知器のガスセンサーは、未使用の状態でも特性が変化してしまうため、長期保管されたアルコール検知器では正常に作動しない可能性があります。実際に、安価なアルコール検知器を使用されているお客様で『誤検知の問題が多く、都度、運転させていいのか困っている』とご相談をいただきました。お酒を飲んでアルコールチェックをしたにも関わらず『0.00』が表示され信用が出来ないとのことでした。その後、当社のアルコール検知器を導入いただき、信頼のおけるアルコール検知器で管理が楽になった、と言っていただけています。」


◾️ アルコールチェッカーは購入先の選び方にも注意が必要


―― 購入時に注意する必要があるということでしょうか?

「アルコール検知器を購入する際は注意が必要で、購入先も可能であれば選んだ方がよいです。アルコール検知器はセンサー搭載の機器であるが故に劣化をしていきます。管理が行き届いていないECストアでは保管期間や保管環境のコントロールが難しく、未使用のものでもお手元に届く際にはセンサーが劣化しているケースも想定されます。アルコールを正しく検知できないアルコール検知器を使用していると『検知器有効保持』の違反となるため、購入側は信頼のおけるところから購入することが大切だと思います。」

―― それは怖いですね。しっかりと信頼できるルートからの入手が必要ですね。


◾️ フィガロ技研さま解説!アルコール検知器の選び方のポイント

アルコール検知器にまつわるお話をフィガロ技研さまに伺いました。最後にポイントを整理します。

  1. 信頼のおけるアルコール検知器を使用すること
    …特に高精度の電気化学式/燃料電池式のアルコール検知器の活用がオススメ。誤検知などのリスクが少なく、事業所に少なくとも1台は持っておくと、「飲んだ、飲んでない」のやりとりも減らせ運転者、管理者共に業務負担軽減をかなえられる
  2. 有効期限はユーザー側での管理が必須
    …法令順守の観点で重要な「検知器の有効保持」は、アルコール検知器を使用する企業側の管理が重要です。取扱説明書等に記載されている期間内で機器の更新やメンテナンスを行い、法令を遵守することが大切です。期限を示す言葉が多い事にも注意が必要
  3. 誤検知(エラー)が多い検知器は、業務負担が大きい
    …時間を置いて再検査となると、運転者・管理者共に負担が大きい。「飲んだ、飲んでない」の心理的負担も鑑みると、誤検知の少ない高性能のアルコール検知器を導入しておくことが負担軽減に繋がる

ガスセンシング業界において、最高品質のガスセンサーを生産することで知られているフィガロ技研さまならではのお話も多くお伺いすることができました。企業様のアルコール検知器の選定にお役立てください。

フィガロ技研さまが提供するアルコール検知器FUGOシリーズはアルコールチェック管理サービス『スリーゼロ』にも対応しています。

FUGOシリーズのご紹介

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