アルコールが抜ける時間を種類別に解説 ビール350mlだと2~3時間が目安?

みなさま、お酒を飲んだ後にアルコールが体内から抜ける時間を計算したことはありますか? お酒を飲んだ翌日に運転される方も中にはいらっしゃることと思います。本コラムでは、アルコールが抜けるまでの時間のビールやハイボール、チューハイを例とした解説や、寝たらお酒は抜けるのか、などについて解説していきます。忘年会シーズンが近づいてきており、今後飲み会が増えていくと思われます。少量のお酒でも飲んだら乗らない、を心がけましょう。

  • 2022/11/11 公開

目次

  1. 1.そもそも人はなぜ酔うの?
  2. 2.アルコールが抜ける仕組みは?
  3. 3.お酒の種類別1缶当たり(350mlまたは500ml)のアルコール含有量(ビール、ハイボール、チューハイ比較)
  4. 4.1時間で抜けるアルコール量の計算方法
  5. 5.寝たら抜けるは本当?
  6. 6.まとめ
  7. 関連コラム

本コラムでは、アルコールが抜けるまでの時間をビールやハイボール、チューハイを例として解説していきます。
忘年会シーズンが近づいてきており、今後飲み会が増えていくと思われます。なぜ人がお酒で酔ってしまうのか、アルコールが抜ける仕組みなどをしっかりと理解して、少量のお酒でも飲んだら乗らない、を心がけましょう。



1.そもそも人はなぜ酔うの?

それではまず、人がお酒で酔ってしまう仕組みついて解説していきたいと思います。
人がお酒を飲むとお酒に含まれるアルコールによって、血中のアルコール濃度が高くなります。その結果、大脳皮質と呼ばれる理性や判断をつかさどっている部分の活動をコントロールしている、大脳下部の「網様体」が麻痺してしまいます。


この状態が、一般的に「酔う」と言われている状態です。
酔いの段階は大きく以下の4つに分けられています。

  1. ほろ酔い:気持ちがほぐれる
  2. 酩酊:足元がふらつく
  3. 泥酔:酔いつぶれる
  4. 昏睡→死:何をしても起きない

(特定非営利活動法人ASK https://www.ask.or.jp/article/533 参考)

③の泥酔や④の昏睡状態になってしまうと、命を落としてしまう確率が高くなってしまうので、ご自身のお酒のキャパシティーを把握して、飲みすぎないように注意しましょう。

ほろ酔いの状態や意識がはっきりしている状態で、ご自身では大丈夫と思っていても、アルコールの麻痺効果により、安全運転に必要な情報の処理能力や注意力などが低下し、危険運転を行ってしまったり、ブレーキを踏み遅れたりと様々な要因が交通事故へとつながります。
特に、お酒に強いといわれている人も少量のアルコールで運転時の操作に影響が出ることが各種研究で明らかになっているので、飲んだら乗らない、を心がけてください。
(低濃度のアルコールが運転操作等に与える影響に関する調査研究 https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/insyuunten/kakeiken-kenkyu.pdf 参考)
(アルコールが運転に与える影響の調査研究の概要 https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/insyuunten/koutsuuziko-kenkyu.pdf 参考)



2.アルコールが抜ける仕組みは?

次にアルコールが抜ける仕組みについて解説していきます。

お酒に含まれるアルコール(エタノール)は、飲んだ後に消化管より吸収されます。
その後、肝臓内のアルコール脱水素酵素とミクロゾームエタノール酸化系という酵素の働きによってアセトアルデヒドに分解されます。
アセトアルデヒドはアセトアルデヒド脱水素酵素という酵素の働きで酢酸に分解され、酢酸は最終的に筋肉などの肝臓外の組織で水と二酸化炭素に分解されます。
この分解された水と二酸化炭素は尿中もしくは呼気中に排泄されます。
このプロセスは一度で完了するわけではなく、分解できなかったアルコールやアセトアルデヒドは再び体内をめぐって肝臓で分解される過程を繰り返します。
こうして、体内のアルコール濃度が下がって、お酒が抜けていきます。
(厚生労働省 アルコールの吸収と分解 e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-02-002.html 参考)



3.お酒の種類別1缶当たり(350mlまたは500ml)のアルコール含有量(ビール、ハイボール、チューハイ比較)


お酒の種類別に1缶当たり(350mlまたは500ml)のアルコールの含有量をビール、ハイボール、チューハイの3つを例に見ていきましょう。
厚生労働省が示す指標では、節度ある適度な飲酒は1日平均純アルコールで20g程度の飲酒となっていますが、果たしてどれだけの純アルコール量を含んでいるのでしょうか?
(厚生労働省 飲酒のガイドライン e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-003.html 参考)

ここでは、お酒に含まれる純アルコール量を使って計算していきます。
純アルコールの計算式は下記です。

「酒の量(mL) × 度数または% / 100 × 比重 = 純アルコール量(g)」
(厚生労働省 飲酒量の単位 e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-02-001.html 参考)

それぞれ、350mlの缶と500mlの缶と仮定して純アルコール量を求めてみます。


・各種350mlの場合
ビール:アルコール5%で、350(mL) × (5/100) × 0.8 = 14g
ハイボール:アルコール7%で、350(mL) × (7/100) × 0.8 = 19.6g
チューハイ:アルコール3%で、350(mL) × (3/100) × 0.8 = 8.4g

・各種500mlの場合
ビール:アルコール5%で、500(mL) × (5/100) × 0.8 = 20g
ハイボール:アルコール7%で、500(mL) × (7/100) × 0.8 = 28g
チューハイ:アルコール3%で、500(mL) × (3/100) × 0.8 = 12g

上記の計算は目安ですが、推奨されている20gは簡単に超えてしまうので注意しましょう。

道路交通法で定められている飲酒運転の基準は呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15㎎以上となっています。これは血液1mL中のアルコール濃度0.3㎎に相当します。
 (山口県 飲酒の根絶に向けてーアルコールの及ぼす影響を正しく理解するー https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/uploaded/attachment/123974.pdf 参考)

例え呼気中アルコール濃度が飲酒運転の基準値を越えない場合でも、少しの飲酒で運転に支障をきたすので、少しでも飲んだら運転しないことを心がけましょう。

血中アルコール濃度は下記広島県のサイトから計算いただけるので気になる方は計算してみてください。
(広島県 血中アルコール濃度を計算してみましょう https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/57/blood-alcohol.html 参考)



4.1時間で抜けるアルコール量の計算方法

それでは、1時間で抜けるアルコール量を3.で挙げたビール、ハイボール、チューハイでそれぞれ計算していきます。

体内でのアルコール処理は体重1kgにつき、1時間で0.1gという速度になっています。
(沖縄県警察 アルコールの与える影響 https://www.police.pref.okinawa.jp/docs/2015030400032/ 参考)

これはあくまで目安で、その方のアルコール分解能力や体調などにも左右されるので注意してください。

体重60kgの人が3. に記載した量のアルコールを摂取したとすると、1時間に抜けるアルコールの量は6gとなるので、分解にかかる時間は下記のようになります。(あくまで目安です)

・各種350mlの場合
ビール:純アルコール量が14gなので、2時間~3時間
ハイボール:純アルコール量が19.6gなので、3時間~4時間
チューハイ:純アルコール量が8.4gなので、1時間~2時間

・各種500mlの場合
ビール:純アルコール量が20gなので、3時間~4時間
ハイボール:純アルコール量が28gなので、4時間~5時間
チューハイ:純アルコール量が12gなので、約2時間

本記事をご覧の皆様は一度の飲酒の機会でどれくらいのお酒を飲まれますか?
ぜひ一度計算してみてください。

ご自身での計算が難しい方は福岡県警が計算ツールを公開しているのでぜひご活用ください。
(福岡県警察 セルフチェック https://www.police.pref.fukuoka.jp/ddzero/check/ 参考)



寝たら抜けるは本当?


それでは最後に、寝たらお酒は抜けるのかを見ていきましょう。

仮眠を取ればお酒が抜けて運転しても大丈夫と考えていらっしゃる方は多いのではないでしょうか?
実は、みなさんが仮眠を取っている間は、内臓も眠ってしまい、起きているときと比べて約2倍もの時間がかかることが分かっています。
また、お酒を日ごろからたくさん飲まれている方は体からお酒が抜けていなくても、お酒が体に回った状態に慣れてしまうことで、お酒が体から抜けたと勘違いしてしまいます。
しかし、アルコールが体に残っていると注意力や判断能力は低下した状態となるので非常に危険です。
(北海道警察 二日酔いの落とし穴 https://www.police.pref.hokkaido.lg.jp/00ps/chuou-syo/a1_kakuka/05_koutu/insyuunten/hutukayoi.pdf 参考)

そのため、仮眠を取ったら大丈夫、という考え方は止めて、次の日の予定やご自身の体調等も考慮に入れてお酒を飲むようにしましょう。



6.まとめ

本コラムでは、お酒を飲んだときに寄ってしまうメカニズムやお酒が抜けるまでの時間などを解説しました。

お酒を飲むと酔ってしまう仕組みやお酒が抜ける仕組み、お酒が抜けるまでの時間等をしっかりと把握して、次の日に業務で運転をしなければならない場合や通勤で車を運転しなければならない場合などは、次の日までお酒が残ってしまわないようにしっかりと計画的にお酒を飲みましょう。
また、お酒を飲んだ後に「仮眠を取れば大丈夫」という考えは飲酒運転事故を引き起こす原因にも繋がるので絶対にやめましょう。

本コラムが飲酒に関しての理解を深めるきっかけとなると嬉しいです。

また、2019年に起きた飲酒運転のトラックによる八街市での悲惨な交通事故をきっかけとして、緑ナンバー事業者だけでなく、白ナンバー事業者のアルコールチェックも義務化されており、安全運転管理者の方はもし社員が飲酒事故を起こしてしまった場合にも多大な責任を負うことになります。

弊社では白ナンバー事業者の方がアルコールチェックの手間を少しでも減らすことができるようにアルコールチェック管理サービス『スリーゼロ』をご提供しております。
アルコール検知器の種類や機種が異なっていてもアルコールチェックの実施管理ができるサービスで、運転の利用頻度が少ない方向けのプランも用意しておりますのでご検討ください。
飲酒運転撲滅に貢献できればと願っております。



担当M.T.