2024年問題について、全体像と建設業界に特化した記事を書いてきましたが、今回は医療業界についてのコラムです。医療業界の2024年問題は、医療業界全体の問題というより該当する職種は限定されてきます。こちらのコラムは社用車やアルコールチェックという観点ではないですが、当社のお客さまでも医療業界の方がいらっしゃるため社用車を使う機会が多い企業様にむけて医療業界として今直面している状況をわかりやすくポイントを絞って解説していきます。
- 2024/05/08 公開
- 2024/5/20 更新
1章 2024年問題とは?さらっとおさらい
2024年問題について、関係する業界は運送・物流業界、建設業界、医療業界の「働き方改革関連法」による働き方改革による影響を指した言葉ですが、その全体像についてはこちらのコラムで解説しています。建設業界に特化したコラムもご用意していますので、よければそちらもご覧ください。
医療業界の2024年問題を簡単にまとめると「医師や看護師など医療業界の労働環境や働き方を見直すこと」となります。今、日本ではどこにいても必要な医療を受けられる社会ですが、そこには医師の長時間労働によって成り立っているという現状があります。少子高齢化や生活習慣病など日々変化する環境の中で日本の医療を取り巻く環境がめまぐるしく変わっていく中で、医師や看護師は拘束時間も長く、人材不足も深刻な問題とされています。
人手不足が慢性的に進むと、1人にかかる負担が大きいものとなり退職者の増加に繋がっていきます。
医師の業務時間が長い原因としては宿直の時間が業務時間に含まれたり、業務内容が多かったりと理由は様々です。
働き方改革が行われると、雇用されている勤務医には時間外・休日労働時間の上限規制が適用されるようになり労働時間の削減を叶えることができるようになります。
厚生労働省によって「医師の働き方改革」について情報を発信していく公式ウェブサイトもあることから、医師の長時間労働について課題意識が高いことが感じられます。
厚生労働省サイト:https://iryou-ishi-hatarakikata.mhlw.go.jp/
2章 2024年問題が医療業界にもたらす影響は?
働き方改革の具体的な内容としては、労働時間の上限が適用されるようになり大きくABCと3つの水準が設けられることとなります。
◆A水準
医療に従事する一般の医師に適応され特別条項付き36協定を締結した場合に「時間外・休日
労働時間の上限:年間 960 時間」という基準です。
◆B水準
救急病院や救急車の年間受入数1,000台以上の病院など、特に緊急性の高い医療を提供する医療機関や地域医療確保などがここに該当します。また、B水準には「B水準」と「連携B水準」があり、こちらは「上限が年間 1,860 時間」という点においては同じですがB水準の中でもB水準なのか連携B水準なのかで内容に差があります。
◆C水準
技能向上に励む医師に適応される水準となり「時間外・休日労働時間の上限:年間 1,860 時間」という基準が設けられています。C水準も「臨床研修医/専攻医の研修」のためのものと、「専攻医を卒業した医師の技能研修」の2つあります。
ただし、B水準とC水準は「特定労務管理対象機関」限定のものとなり、あくまでも暫定的な措置で将来的にはAを目指していく必要があります。
わかりやすく解説している資料も発表されています。
出典:いきいき働く医療機関サポートWebいきサポ
< https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/commentary_slide >最終アクセス2024年4月19日
また、労働基準法により罰則ももうけられており、罰則内容として6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が医療機関に科せられることになりました。
こうした罰則があると、対応をしないわけにはいかず忙しい中でも働き方改革を推進していくこととなります。
医療業界で従事している方や関連企業の方への影響としては、仕事で接する医師の労働時間の変更で、日々の業務の進め方などへの影響が発生しそうですね。
2024年問題に直接的にかかわる職種でなくとも、関連する企業は少なからず影響を受けることになりそうです。
特に製薬会社などでは、特にMRなどの医師の方とMTGを実施するなど直接コミュニケーションをとる必要のある職種の方は医師の方との商談に時間を割くために他の業務を効率化ししっかりと時間を確保していくなどの対応策があるとよいのかもしれません。
そのうちの1つとして、営業時などに使用する社用車の運転前後のアルコールチェックなどをクラウド管理へ移行し、紙やExcelなど記載の手間を省くなどちょっとした工夫で業務効率化を進められるといいですね。
3章 改善の工夫はどうやっていくの?
働き方改革で決められたルールとして、全水準に「面接指導」が必要になりました。時間外・休日労働が月100時間以上見込まれる場合は面接指導を受ける必要があります。
また、B水準とC水準においては勤務インターバルとして連続した休憩時間を確保し、業務と離れる時間を設けることや、緊急の業務が代償休憩を取得する必要があります。
こうしたルールを設けることで現状の働き方の改善を行っていきます。
また、医療機関では勤怠時間の管理が複雑なケースが多いそうで、正しい勤務時間の管理把握として勤怠管理システムの導入も効果的だと言えます。
4章 最後に
医療業界の2024年問題について簡単に解説してきました。働き方改革を推進する上で、患者となりうる我々も「平日の昼に行く時間がないから」といった理由で診察時間外に緊急性のない受診をする方は少ないと思いますが、こういった行為は絶対にしない事も必要になってきます。また、今すぐ医療機関に行ったほうがいいかなど迷ったときは、電話で相談できる「♯8000」や「♯7119」を活用することも大切ですね。
改善策の1つとして、勤怠管理やアルコールチェックのクラウド管理などのサービスを挙げていますが、そういった最新の技術を取り入れながら医療業界に関わらず業務効率化を図り、業務時間の削減につなげていけるといいですね。
以上
担当H.I.