【2024年改正】道路交通法 ~自転車違反に「青切符」、ながら運転、酒気帯び運転、信号無視にも反則金~

政府は、自転車走行中のながら運転や酒気帯び運転に罰則科す「道路道交法」を2024年11月1日より施行することを決定しました。(2024年8月30日)また、これらの違反を繰り返した人には、自転車運転者講習の受講を命令できる道交法施行令の改正も決定し、同日に施行されます。
これにより、自転車の交通違反に対する取り締まりが大きく変わることになります。「信号無視」や携帯電話を使用しながらの「ながら運転」や自転車での「酒気帯び運転」など、重大な事故に繋がる恐れのある違反について重点的な取り締まりが行われるようになります。本コラムでは、改正内容とその影響について解説します。

  • 2024/06/03 公開

目次

  1. 1章 自転車が関連する事故が増加傾向
  2. 2章 道路交通法改正の概要
    1. ◆①青切符制度の導入
    2. ◆②交通違反の対象となる違反
    3. ◆③安全の確保
  3. 3章 最後に


1章 自転車が関連する事故が増加傾向

警察庁によると、交通事故の発生件数は年々減少している中、自転車が関係している事故の占める割合は増加傾向が続いており、自転車事故の割合が全交通事故の中で過去最高の23.3%に上ったようです。死亡や重症事故のうち、およそ4分の3が自転車側に違反行為が確認されています。また、新型ウイルス感染症拡大の中、移動に自転車と使う機会が定着したことも事故件数増加に繋がっていると言われております。

出典:https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/info.html

自転車の取り締まり強化に関しては、2023年4月1日施行道路交通法改正において、年齢を問わず自転車乗車時のヘルメット着用が努力義務として課せられています。

●【道路交通法改正のポイント 2023年4月施行編】自転車ヘルメット着用や自動運転レベル4解禁に ついて

こうした状況を受けて、自転車の悪質な交通違反に対し、車やオートバイと同じように反則金を課す「青切符」による取り締まりの導入を盛り込んだ道路交通法の改正が決定されました。

16歳以上を対象に適用され、100以上の違反行為が対象となるようです。交付から2年以内に施行される予定です。



2章 道路交通法改正の概要

2024年3月5日に閣議決定された道路交通法の一部を改正する法律案については、2024年5月17日、国会において改正道路交通法が可決・成立しました。自転車の交通事故防止を図るため、自転車に交通反則通告制度を適用すること等を内容とするものになります。



◆①青切符制度の導入

16歳以上の自転車運転者に対して交通反則通告制度(青切符)が導入されます。

交通反則通告制度(いわゆる「青切符」)とは?

運転者がした一定の道路交通法違反(反則行為:比較的軽微であって、現認、明白、定型的なもの)について、反則者が警察本部長の通告を受けて反則金を納付した場合は、公訴が提起されない制度

出典:警視庁 自転車の交通違反に対する交通反則通告制度の適用資料



◆②交通違反の対象となる違反

取り締まりの重点対象行為は、交通事故の原因又は悪質性・危険性・迷惑性が高い違反になります。

出典:警視庁 自転車の交通違反に対する交通反則通告制度の適用資料



交通反則切符(青切符)

青切符の取り締まりが適用されるのは16歳以上の利用者です。最低限の交通ルールを知っていると考えられることや、原付免許などを取得できる年齢であること、電動キックボードを運転できる年齢であることなどが考慮されました。

反則金

反則金は今後、政令で決まりますが、5000円から1万2000円程度になるとみられております。

主な違反内容

  • 信号無視
  • 指定場所一時不停止
  • 通行区分違反(右側通行、歩道通行等)
  • 通行禁止違反
  • 遮断踏切立ち入り
  • 歩道における通行方法違反
  • 制動装置不良自転車違反
  • 携帯電話使用等
  • 公安委員会遵守事項違反(傘差し、イヤホン)など


交通切符(赤切符)

赤切符は、より重い違反に対して発行されます。赤切符を受け取ると必ず裁判が行われ、無罪はなく罰金刑となります。また違反点数が付加され、場合によっては運転免許の停止や取り消しが行われることもあります。

自転車運転中のスマホなどの使用で、実際に危険を生じさせた場合も赤切符対象で、1年以下の懲役または30万円以下の罰金となります。

また、これまで罰則の対象外だった自転車での酒気帯び運転について3年以下の懲役、または50万円以下の罰金が設けられました。こちらは6ヵ月以内に施行されます。

主な違反内容

  • 酒酔い運転
  • 酒気帯び運転
  • あおりなどの妨害運転
  • スマホなどの使用で危険を生じさせた場合


◆③安全の確保

改正道交法には車道を走る自転車を守る法整備も行われ、車道を走る自転車を追い抜く車に対して自転車との間隔に応じた安全な速度で走行するよう義務付けられました。

今後の施行スケジュール

  • ながら運転、酒気帯び運転の罰則 ⇒ 11月1日施行
    ながら運転
    6か月以下の懲役または10万円以下の罰金
    (歩行者などに実際に危険を生じさせたケース)
    1年以下の懲役または30万円以下の罰金
    酒気帯び運転
    3年以下の懲役または50万円以下の罰金


3章 最後に

本コラムでは2024年改正道路交通法による、自転車違反に関する新制度と罰則に関してご紹介しました。

近年、自転車の利用は、多彩な広がりを見せており、災害時の自転車活躍、健康意識の高まりなど自転車通勤がブームになっております。また、物流業での自転車活用やレンタサイクルなど、自転車の活用方法も広がってきております。一方、交通事故における自転車事故の割合が増えております。日々のニュースでも自転車のながら運転、危険運転なども取り上げられており、今回、携帯電話のながら運転、酒気帯び運転などの罰則も強化されております。都市部を中心に自転車通勤も増えておりますが、自転車通勤であっても飲酒運転はNG行為です。企業の管理者は、そういった徹底を社員に呼び掛けていく必要があります。

当社では、白ナンバー事業者向けのアルコールチェック管理サービス『スリーゼロ』を提供しております。

100種類以上の検知器に対応し、検査結果を簡単にクラウド管理でき、大幅な業務効率化に貢献できます。

現在、検査結果を紙やエクセル管理していている場合には、直ぐに、低コストでクラウド移行が可能です。

本コラムをご覧になった方で、会社での社用車管理・アルコールチェック、業務効率化に関して課題を持たれている方おられましたら、お声かけいただければ幸いです。



アルコールチェック管理サービス『スリーゼロ』

https://alc.aiotcloud.co.jp/

今回の改正道路交通法により、自転車運転に対する規制が強化され交通事故が減少するとともに、自転車運転者の安全意識が向上することを期待しております。

以上

担当H.I.