【令和6年度】安全運転管理者講習の概要!日程や時間・受講内容を解説

一定数以上の自動車を持つ事業所では、従業員の安全運転を確保するために安全運転管理者を配置し、年に1回、安全運転管理者講習を受けさせる必要があります。この記事では、安全運転管理者講習の概要を詳しく解説します。費用や受講内容、都道府県別の日程や時間も確認できるようにまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

  • 2024/07/29 公開

目次

  1. 安全運転管理者講習とは?
  2. 【令和6年度】安全運転管理者講習の概要
  3. 安全運転管理者講習の受講までの流れ
  4. 安全運転管理者講習に必要な書類と持ち物
  5. 安全運転管理者講習を受講するときの注意点
  6. 安全運転管理者講習を受けなかったらどうなる?
  7. そもそも安全運転管理者とは?
  8. 安全運転管理者の業務内容
  9. 安全運転管理者を選任・届出しなかった場合の罰則
  10. 安全運転管理者講習に関するよくある質問
  11. 安全運転管理者講習を受講し、従業員に安全運転を促そう


安全運転管理者講習とは?

安全運転管理者講習とは公安委員会が実施する法定講習の1つで、安全運転管理業務に必要な知識や情報を得るために安全運転管理者が受講する重要な講習です。

事業主は安全運転管理者に年に1回、安全運転管理者講習を受講させることが道路交通法第108条の2第1項第1号で義務付けられています。

安全運転管理者は誰でもなれるわけではなく、一定年齢以上であることかつ、運転管理の実務経験が問われます。安全運転管理者講習の開催日程や会場は、都道府県によって異なるので事前に確認しておきましょう。

【令和6年度】
安全運転管理者講習の概要はこちら



安全運転管理者講習の受講頻度と時間

安全運転管理者講習は年に1回受講しなければなりません。安全運転管理者講習は、道路交通法で定められている法定講習であるためです。

受講時間に関しては、安全運転管理者は6時間以上10時間以内、副安全運転管理者は4時間以上8時間以内と決められています。新型ウィルス感染症拡大に伴い、オンラインでも受講可能となりました。



安全運転管理者講習の受講方法は2パターンある

安全運転管理者講習には「会場型講習」と「オンライン型講習」の2パターンあります。会場型講習は、指定された日時に用意された会場で受ける講習で、オンライン型講習は指定された日時にライブ配信された講義を視聴する講習です。

2パターンの受講方法のうちオンライン型講習が推奨されているため、Web会議システムなどを使えるのであればオンライン型講習を選択しましょう。



【令和6年度】安全運転管理者講習の概要

安全運転管理者講習の日程や受講内容、かかる費用などを知らない人も多いでしょう。ここからは、安全運転管理者講習の概要を紹介します。



【都道府県別】安全運転管理者講習の日程

安全運転管理者講習の日程は、会場型・オンライン型ともに都道府県によって異なっており、各都道府県における警察本部のホームページなどで確認できます。以下に各都道府県別でまとめているので参考にしてみてください。



安全運転管理者講習の受講内容

安全運転管理者講習では、以下の受講内容を教本や視聴覚教材を用いて学んでいきます。

受講内容 学ぶこと
自動車、道路の交通に関する法令の知識 法改正の内容や交通安全に関する規定・罰則
その他自動車の安全な運転に必要な知識 交通事故の原因や日常点検の重要性、運転時の注意点
自動車の運転者に対する交通安全教育に必要な知識・技能 エコドライブの重要性や実践する方法、交通安全教育スケジュールの作成例
安全運転管理に必要な知識・技能 安全運転管理者の基本業務や運転者の健康管理、交通安全に対してのリスクマネジメント

出典:道路交通法施行規則|e-Gov法令検索



安全運転管理者講習の費用

安全運転管理者講習の費用として、以下の講習手数料がそれぞれかかります。

  • 安全運転管理者: 4,500 円
  • 副安全運転管理者: 3,000 円

なお、講習手数料は非課税となります。



安全運転管理者講習の受講までの流れ

安全運転管理者講習を受けるまでには、どのような順で手続きを進めていくのでしょうか。ここからは、安全運転管理者講習の受講までの流れを解説します。



安全運転管理者選任の届出を行う

安全運転管理者に選任されたら、まずは15日以内に公安委員会へ届け出る必要があります。 届出は郵送、もしくは警視庁の行政サイトからでも提出できるので、各都道府県の警察署のホームページを確認してみてください。

安全運転管理者を変更する場合にも届出が必要なので、忘れずにおこないましょう。



講習通知書が届く

安全運転管理者の届出が完了すると、講習通知書が事業所の所在地から郵送されます。講習通知書が手元に届いたら、内容をすぐに確認して受講の準備を始めましょう。

講習通知書には講習の日時や場所といった詳細が記載されていますが、複数の日程から希望日を選べる場合もあります。講習に必要な書類や持ち物も記載があるため、チェックリスト化するなどして当日の忘れ物に気をつけましょう。

もし講習日程に都合がつかない場合は、通知書に記載されている連絡先へその旨を連絡することで、他の会場で受講できます。



受講する

受講当日になったら、受講会場もしくはオンライン受講の準備を進めましょう。安全運転管理者講習は法定講習のため遅刻は厳禁です。

講習手数料をいつ支払うかはオンライン型講習・会場型講習それぞれで記載されているので、確認し忘れずに支払いを済ませておくことが大切です。また、講習通知書をはじめ必要なものは必ず持参しましょう。



安全運転管理者講習に必要な書類と持ち物

安全運転管理者講習には、以下の書類や持ち物が必要です。

  • 講習通知書
  • 安全運転管理者証
  • 講習手数料(領収書、収入印紙など)
  • 身分証明書
  • 筆記用具

安全運転管理者講習には、講習日の1カ月以上前に届く講習通知書、安全運転管理者証、講習手数料が必要です。安全運転管理者証に関して、現在廃止の傾向にあり不要なケースもあるので、関係事業所のホームページなどで事前の確認が必要です。

本人確認をおこなう場合に備えて身分証明書と、講習の記録を取るための筆記用具も持参するようにしましょう。



安全運転管理者講習を受講するときの注意点

安全運転管理者講習を受けるにあたって、いくつか気をつけなければならない点があります。ここからは、安全運転管理者講習を受講するときの注意点を3つ紹介します。



代理者の受講は認められない

安全運転管理者講習では代理受講は認められません。道路交通法改正や交通事故に関する最新の情報など、安全運転管理業務に必要となる重要な内容が含まれるため、年に1回必ず講習を受ける必要があります。

どのような理由があっても、安全運転管理者本人が日程調整を行い受講しましょう。



途中退席や中抜けした場合は再受講しなくてはならない

安全運転管理者講習は、受講途中の退席や中抜けは認められていません。仮に途中退席や中抜けをしてしまった場合、受講した講習は無効になってしまい再受講が必要となります。

この講習では警察官や交通安全の知識が豊富な講師陣から、安全運転管理業務を行ううえで必要な知識を学べます。途中退席で再受講とならないように、受講当日は体調を整えて臨みましょう。



自分で駐車場を確保する必要がある

講習会場には基本的に専用の駐車場が確保されていないので、車で行く場合は自身で駐車場を確保する必要があります。講習会場の周辺をネットなどで事前に調べておき、必要に応じて駐車場を予約しておくと安心でしょう。

当日の駐車場や道路の渋滞などの懸念を考えると、電車やバスなどの公共交通機関を利用するのが最適です。



安全運転管理者講習を受けなかったらどうなる?

もし安全運転管理者講習を受けなかったらどうなるのでしょうか。結論、受講しなかった場合の罰則は現段階では規定されていません。

しかし、講習を受けないと法改正などにおける情報のアップデートができないうえ、自社企業の信用が損なわれる可能性が高まります。

都道府県によっては、未受講事業者に対して特別診断を実施する場合もあります。該当企業側が所轄の警察署に出向き、安全運転管理に関して質問されたり資料提出を求められたりするケースもあるので注意しましょう。



そもそも安全運転管理者とは?

安全運転管理者にはそもそもどういった役割があるのでしょうか。安全運転管理者とは、一定数以上の社用車を持つ事業者で、従業員の安全運転の確保に必要な業務と責任を事業者に代わって負う人を指します。

対象事業者は必ず安全運転管理者を専任して、公安委員会に届け出る義務があります。対象となる事業所は、以下のとおりです。

  • 定員11人以上の自動車を1台以上使用している事業所
  • その他の自動車を5台以上使用している事業所
安全運転管理者の届出対象事業者

安全運転管理者は令和4年4月に施行された「アルコールチェック義務化」にも対応しなければなりません。アルコールチェックの実施だけでなく、記録とデータの保管も含めて義務づけられています。

以下の記事では、アルコールチェック義務化の内容や罰則、導入のステップなどを事業所向けに解説しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

アルコールチェック義務化とは?
詳しい解説はこちら



安全運転管理者の業務内容

安全運転管理者は具体的にどのような業務を行うのでしょうか。ここからは、安全運転管理者の業務内容を9つ紹介します。

  • 運転者の状況把握
  • 安全運転確保のための運行計画の作成
  • 長距離、夜間運転時の交代要員の配置
  • 異常気象時等の安全確保の措置
  • 点呼等による安全運転の指示
  • 運転者の酒気帯びの有無の確認
  • 酒気帯びの有無の確認内容の記録・保存
  • 運転日誌の備え付けと記録
  • 運転者に対する安全運転指導


運転者の状況把握

従業員の運転適性や技能、知識、道路交通法をはじめとした法令を遵守しているかを把握するために、以下のような措置を取ります。

  • 技術や知識が把握できる書類を提出してもらう(運転記録証明書や運転免許証の写し)
  • 運転に関する試験などを実施


安全運転確保のための運行計画の作成

従業員に安全運転してもらうために、出発日時や走行距離、運行経路など目的地までに必要な情報を元に運転計画を作成します。加えて、過積載や速度違反、過労運転の防止も含めて、従業員に共有しなければなりません。



長距離、夜間運転時の交代要員の配置

長距離運転や夜間運転は疲労や寝不足によって安全運転が難しくなるため、前もって交替する運転者を配置して、事故を未然に防ぐ対策が必要です。安全運転管理者が交代要員の配備態勢を構築し、交通事故防止につなげる役割を担います。



異常気象時等の安全確保の措置

異常気象時における安全確保のために、以下のような対策をします。

  • 日々の天候をチェック
  • 異常気象時の対応マニュアルの作成
  • 運転者との連絡体制の構築

異常気象や天災時の安全運転確保のために、運転者への指示と対策が重要です。



点呼等による安全運転の指示

従業員に対して点呼などによって、以下の状況を確認して安全運転できるように指示をおこないます。

  • 車両の運転前点検の実施状況
  • 過労や病気などの体調

点呼時には、安全運転確保のために必要な指示出しも同時におこないます。



運転者の酒気帯びの有無の確認

運転前後の従業員に対して、以下に気を配りながら酒気帯びの有無を確認します。

  • 目視やアルコールチェッカーで確認
  • 声や表情、においで確認
  • 場合によって、携帯電話やモニターで確認

この業務は令和4年4月施行の道路交通法改正で追加されたものです。



酒気帯びの有無の確認内容の記録・保存

酒気帯びの確認結果は1年間保管が必要です。こちらも令和4年4月の道路交通法改正で追加された項目です。記録形式に決まりはありませんが、以下の項目は必須事項として記録が必要です。

  • 安全運転管理者名
  • 運転者名
  • 自動車のナンバー
  • 確認の日時(対面でない場合は具体的方法)
  • 酒気帯びの有無
  • 指示事項
  • その他必要な事項

以下の記事では、アルコールチェック記録簿の必要項目、保管方法、ひな形などを紹介しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

アルコールチェック義務化とは?
詳しい解説はこちら



運転日誌の備え付けと記録

業務で自動車を運転した場合、運転日誌を記録します。安全運転管理者は、運転の開始や終了の日時や運転者名、運転距離など必要事項を記録する運転日誌を備え付けて、運転を終了した運転者に記録させます。



運転者に対する安全運転指導

運転する従業員に対し、交通安全教育指針に基づく教育や運転に関する技能や知識、安全運転を確保するために必要な項目を指導しなければなりません。この時に、安全運転管理者講習で学ぶ内容が役立ちます。

出典:国土交通省|安全運転管理者制度の概要

以下の記事では、ドライバーが守るべき「安全運転義務」について詳しく解説しております。従業員への安全運転指導の際に役立つ内容のため、ぜひ参考にしてみてください。

運転者の罰則対象となる
「安全運転義務違反」の項目とは?



安全運転管理者を選任・届出しなかった場合の罰則

安全運転管理者の選任と届出は対象事業所にとっての義務です。社用車の台数が20台を超える場合、20台毎に1人の副安全運転管理者を選任することも併せて必要です。

安全運転管理者や副安全運転管理者を専任しなかった場合は50万円以下の罰金、届出を提出しなかった場合は5万以下の罰金が科せられます。安全運転管理者の選任が必要な条件が揃ったら、なるべく早くして公安委員会へ届け出るようにしましょう。

出典:警視庁|安全運転管理者等法定講習



安全運転管理者講習に関するよくある質問

  • Q.安全運転管理者講習の受講は義務?
    A. 対象事業所は安全運転管理者を選任し、年1回の法定講習を受講させることが義務化されています。これは、道路交通法第108条2に基づくものです。
    安全運転管理者を選任し法定講習を受講させることで、安全運転管理を徹底しましょう。
  • Q.安全運転管理者講習の受講時間はどのくらい?
    A. 安全運転管理者講習の受講時間は6時間以上10時間以下で、これは道路交通法施行規則で定められています。一般的には、午前10時頃~午後5時頃の間の約6時間で実施されることが多いようです。
    なお、副安全運転管理者講習については4時間以上8時間以下となっています。
  • Q.安全運転管理者の受講費用に消費税はかかる?
    A. 安全運転管理者講習の受講費用は非課税です。安全運転管理者講習は道路交通法に基づく法定講習であるため、課税対象となりません。ちなみに、受講費用は安全運転管理者が4,500円、副安全運転管理者が3,000円となっています。


安全運転管理者講習を受講し、従業員に安全運転を促そう

安全運転管理者に選任された方は、各都道府県で実施されている安全運転管理者講習を受講することが必須です。安全運転管理者講習では、安全運転管理者が企業内における交通事故を未然に防ぐ技術や知識を学べます。

一定数以上の社用車を扱う企業では、安全運転管理者の選任が義務となっており、守らなかった場合は罰金が科せられます。安全運転管理者の選任と届出を忘れずに行い、安全運転管理者講習も必ず受講するようにしましょう。

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監修者 宇徳 浩二(うとく こうじ)

2002年シャープ入社。携帯電話のソフトウエア開発部門にて、スマートフォンのシステム開発等従事。
その後、AIソリューションの開発責任者として、シャープのAIoT(AI+IoT)のAI開発をけん引。
2022年AIoTクラウドにてプロダクトマネージャーに就任し、アルコールチェック管理サービス『スリーゼロ』、WIZIoT(ウィジオ)遠隔監視サービスなどのSaaSサービスのプロダクトを創出。
AI、IoTを活用したソリューションやサービスに携わる者として、社内外の講演、セミナーに登壇をするなどAI、IoT、SaaSビジネスに関して発信している。

宇徳 浩二