「飲酒していないのにアルコールチェッカーに引っかかってしまった」という経験がある方もいるのではないでしょうか。アルコールチェッカーは、コーヒーや特定の食品などが原因で誤検知を起こしてしまう可能性があります。本記事では、アルコールチェッカーに反応する飲酒以外の要因やその対処法まで詳しく解説します。
- 2024/09/09 公開
目次
アルコールチェッカーとは?
アルコールチェッカーは、呼気中のアルコール濃度を測定するための機器です。アルコールチェックの義務化、また社会的な飲酒運転への意識の高まりに伴い、アルコールチェッカーの需要が増しています。
アルコールチェッカーには、機器にストローやマウスピースを装着し息を吹きかけるタイプや、機器本体のセンサーに息を吹きかけるタイプなど、用途に応じてさまざまなタイプがあります。体内の残留アルコール濃度を確認することにより、車を運転するときの安全性を保つことが可能です。
コーヒーはアルコールチェッカーに反応する?
飲酒だけでなく、コーヒーを飲んだ後でもアルコールチェッカーに反応する可能性はあります。とくに飲んだ後20分間は反応する可能性が高いため、注意が必要です。
また、飲酒・コーヒーに関わらず、アルコールに近い成分や体調など、アルコールチェッカーの誤検知を引き起こす原因にはさまざまなものがあります。
本来、アルコールチェッカーは飲酒の有無を確認するための機器です。正確な検査結果を導くためにも、誤検知を引き起こしやすい要因やその対処法を知っておきましょう。
アルコールチェッカーに反応する飲酒以外の要因
アルコールチェッカーは飲酒しているとき以外でも反応する可能性があります。以下、誤検知を引き起こしやすい要因を紹介します。
飲み物
- ノンアルコールビール
- 栄養ドリンク
- コーヒー・紅茶
- 糖アルコールを含む飲料
お酒以外にも、アルコールチェッカーに反応しやすい飲み物はいくつかあります。「ノンアルコール」と記載されているビールなどに、微量のアルコールが含まれていることは少なくありません。
そのほか、栄養ドリンクやコーヒー、紅茶など、ドライブの眠気覚ましに好まれる飲み物にも注意しましょう。
また、糖アルコールとは、「カロリーゼロ/シュガーレス」と記載がある低カロリー甘味料に含まれるアルコールのことです。糖アルコールを含む飲み物も、誤検知を引き起こす可能性があります。
食べ物
- 発酵食品:キムチ・ヨーグルト・納豆
- 熟成食品:チーズ・サラミ
- アルコールを含む調味料:みりん・料理酒
- フルーツ:熟したバナナ・リンゴ
- パン:あんぱん・蒸しパンなど
食べ物にも、アルコールが含まれているものがあります。とくに発酵食品やパンなどには注意しましょう。
発酵しているもの・製造に発酵の過程があるもの・生産の過程で使用されたアルコールが微量に残っているものなどは、アルコールチェッカーが反応する可能性があります。
また、調味料にもアルコールが含まれるものもあります。とくに低カロリーのものには、糖アルコールが含まれるため要注意です。
喫煙
喫煙後は、一酸化炭素が口の中に残ります。そのため、アルコールチェッカーが反応する場合が多いです。
アルコールチェックする直前の喫煙は避けた方がよいでしょう。喫煙をした場合は、30分ほど空けてからアルコールチェッカーを使用することが推奨されます。
医薬品
医薬品でも、アルコールチェッカーが反応してしまう可能性があります。とくに、うがい薬やのどスプレーの使用後などは、アルコールチェッカーの反応が出やすいです。
まれに、医薬品の服薬によっても誤検知を引き起こすことがあります。咳止め薬や風邪薬などに微量のアルコールが含まれる場合もあるため、含まれる成分を確認するほか、服用の時間にも配慮しましょう。
体調・体質
- ケトン臭
- 前日のアルコール
アルコールチェッカーの反応は、個々の体調や体質によって大きく異なります。同じ飲料や食品を摂取していたとしても、反応が出る・出ないに差が出ることは珍しくありません。
中でも「ケトン臭」は、糖尿病やダイエット中の人に見られる特有の体臭のことで、これが誤検知を招くことは少なくありません。摂取した飲料・食品などに関わらず、「ケトン臭」自体がアルコールチェッカーに反応してしまう場合があります。
また、前日のアルコールが体内に残っている場合にも、誤検知を引き起こす可能性があります。体調が悪い・風邪をひいている状態においても同様です。
アルコールチェッカーは自分の体調・体質によっても左右されると覚えておきましょう。
洗口剤(口腔ケア用品)
- 歯磨き粉
- マウスウォッシュなど
口腔ケア用品の使用直後も、アルコールチェッカーが反応しやすい傾向にあります。とくに歯磨き粉・マウスウォッシュ・ミント系のガムなどにも反応する可能性が高いです。
口腔ケア用品の直後はアルコールチェッカーの使用を避けた方がよいでしょう。使用した場合は20~30分時間をおく、もしくはしっかりと口の中をすすいでからアルコールチェッカーを使用するのが推奨されています。
使用環境・保管環境
- 気温が極端に高い、低い場所
- アルコール成分を含む製品を使用した場所
- 煙草の煙がある場所など
アルコールチェッカーは、使用環境や保管環境によっても誤検知を起こしてしまう可能性があります。極端な温度環境での保管や、アルコール成分を検知しやすい環境、煙草の煙が残っている環境での使用においては、とくに注意が必要です。
たとえば、除菌シートでアルコールチェッカーや周辺を掃除したり、アルコール成分を含んだ製品の近くで使用したりするのはNGとされています。使用環境や保管環境にも注意を払い、誤検知を防ぐことが大切です。
アルコールチェッカーで誤検知を起こさないための対処法
アルコールチェッカーで誤検知を起こしやすい飲食物や環境は、日常生活に溢れていることが分かりました。では、これらによる誤検知を防ぐためにはどのような対処法ができるのでしょうか。ここでは、主な4つの方法を解説します。
飲食後、20~30分時間を空ける
誤検知を防ぐ方法として、飲食後から20~30分時間を空けることが推奨されています。とくにアルコールを含む飲料・食品を摂取した場合、直後に測定すると誤検知の原因になるケースが多いです。
アルコールチェッカーを使用する前はどの飲食物を摂取するかに注意するほか、飲食後は時間を空けてからアルコールチェックすることが重要といえます。
うがいをしっかりする
時間を空けることと同様、しっかりとうがいをすることも誤検知を防ぐ方法のひとつです。飲食後や喫煙後などは、口腔内の残留物によって、アルコールチェッカーの誤検知を引き起こしやすくなります。しっかりと口の中をすすぎ、洗い流すことが大切です。
また、うがいに加えてコップ一杯の水や白湯を飲むのも効果的とされています。
使用時は換気をする
アルコールチェッカーを使用する際は、十分に換気してから行うことが重要です。室内の空気中に残留するアルコールや化学物質が、センサーに影響を与える可能性があります。
密閉された空間での使用は避け、窓を開けたり、換気扇を回したりしましょう。新鮮な空気の中でチェックを行うことで、正確な測定結果を得られます。
センサーのお手入れをする
アルコールチェッカーは、定期的にお手入れすることが必要です。唾液や汚れがセンサーに付着していると、正確な測定ができない可能性があります。
お手入れの際は、アルコール除菌スプレーやシートの使用は避けましょう。水で湿らせ、固く絞ったやわらかい布などで拭きあげるお手入れ方法が推奨されています。
清掃後は、センサーの状態を定期的にチェックし、必要に応じて新しいものに交換しましょう。
アルコールチェッカーを選ぶ4つのポイント
アルコールチェッカーを正しく使用するためには、飲食物や喫煙などに気をつけるだけでなく、使いやすいアルコールチェッカーを選ぶことも重要です。ここでは、自分の使い方に合った機器を選ぶための4つのポイントを紹介します。
お役立ち資料
「アルコール検知器の選定ポイント」
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センサーの種類で選ぶ
アルコールチェッカーを選ぶとき、センサーで選ぶことが1つのポイントとなります。センサーには、半導体式ガスセンサー、電気化学式(燃料電池式)センサー、NDIR式(非分散型赤外線)センサーの3種類あります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、どのセンサーが向いているか確認していきましょう。
◾️ 半導体式ガスセンサー
半導体式ガスセンサーとは、センサーの表面に付着した酸素の量によって、電気の抵抗値が変化する特性を利用したセンサーです。
飲酒時は呼気の酸素量が減少し、電気抵抗値も低くなります。そのため、電気抵抗値が低いほど、アルコール濃度が高いと判断されることになります。
半導体式ガスセンサーのアルコールチェッカーは比較的安価で手軽に使用できますが、アルコール以外の要因に影響されやすいため注意が必要です。
【半導体式ガスセンサーの特徴】
メリット |
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デメリット |
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おすすめの人 |
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◾️ 電気化学式(燃料電池式)センサー
電気化学式(熱料電池式)センサーとは、呼気に含まれるアルコール成分を熱料として電気を発生させる特性を持つセンサーです。電気の発生量が多いほど、呼気中のアルコール濃度が高いと判定されます。
測定の精度が高く、周辺環境の影響を受けづらいことがメリットですが、比較的高価なものが多いです。
>【電気化学式(燃料電池式)センサーの特徴】
メリット |
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デメリット |
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おすすめの人 |
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◾️ NDIR式(非分散型赤外線)センサー
NDIR式センサーとは、アルコール分子が特定の波長の赤外線を吸収する特性を持つのを利用したセンサーです。他の物質による干渉を受けにくく、正確にアルコール濃度を測定できます。
比較的高価なうえ大型なものが多いため、業務としてアルコールチェックを行う方に向いているでしょう。
【NDIR式(非分散型赤外線)センサーの特徴】
メリット |
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デメリット |
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おすすめの人 |
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携行型か据置型かで選ぶ
アルコールチェッカーには、携帯型と据置型の2つのタイプがあります。それぞれ使い勝手が異なるため、どちらのタイプが向いているか確認していきましょう。
◾️ 携行型
携行型とは、手のひらサイズで持ち運びが可能なアルコールチェッカーです。比較的安価で、いつでも手軽にアルコールチェックできます。
一方で、使用回数が決まっているほか、測定結果の自動記録ができないものが多いなどのデメリットもあります。
長距離を走る大型トラックのドライバーや、個人で使用する際におすすめです。
【携行型の特徴】
メリット |
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デメリット |
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おすすめの人 |
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◾️ 据置型
据置型とは、営業所などに設置するタイプのアルコールチェッカーです。管理下で測定できるため、不正防止につながります。また、耐久性やメンテナンス性に優れていることもメリットです。
一方、比較的高価なものが多いほか、持ち運びには向かない点はデメリットといえます。
ドライバーが始業・就業時に必ず事務所に立ち寄るタイプの営業所などにおすすめです。
【据置型の特徴】
メリット |
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デメリット |
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おすすめの人 |
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測定方法で選ぶ
アルコールチェッカーには、さまざまな測定方法のものがあります。種類によって価格や精度が異なるため、それぞれの特徴を確認していきましょう。
◾️ 吹きかけ式
吹きかけ式は、機器本体の吹き込み口に息を吹きかけるタイプの測定方法です。手軽に測定でき、比較的安価に入手できます。
一方、口と吹き込み口の間に距離があるため、周囲の空気に影響を受けやすいという点がデメリットです。また、使い捨てではないため、しっかりと掃除やメンテナンスをする必要があります。
手軽に使えコストを抑えたい方におすすめです。
【吹きかけ式の特徴】
メリット |
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デメリット |
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おすすめの人 |
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◾️ ストロー式
ストロー式は、検知器本体に差し込んだストローに息を吹きかけるタイプの測定方法です。ストローにより周囲の空気を遮断できるため、吹きかけ式に比べて測定精度が高いです。また、ストローは使い捨てのため、衛生面にも優れています。
一方、ストロー交換のゴミ処理の手間・コストがかかることがデメリットといえます。
精度・衛生面を重視したい人におすすめです。
【ストロー式の特徴】
メリット |
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デメリット |
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おすすめの人 |
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◾️ マウスピース式
マウスピース式は、専用のマウスピースを検知器本体に取り付け、息を吹きかけるタイプの測定方法です。測定精度が高く、マウスピースによっては使い捨てのもの・洗浄して繰り返し使用可能なものが選べます。
一方、非使い捨ての場合は、マウスピースを毎回洗浄する手間がかかります。また、使用期限が決まっているタイプもあるため注意が必要です。
精度・コスパを重視したい人におすすめです。
【マウスピース式の特徴】
メリット |
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デメリット |
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おすすめの人 |
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機能性で選ぶ
アルコールチェッカーには、さまざまな機能性が備わったものがあります。測定のしやすさだけでなく、測定結果を記録したり、データを共有したりといった機能面にも注目して選ぶのがポイントです。
BluetoothでPCやスマホと通信可能な機器であれば、測定結果をクラウド上に保存できます。虚偽報告や抜け漏れの防止につながり、手作業が軽減されるため管理者の業務や労務改善にもつながるでしょう。
精度の高さだけでなく、自社に合った機能を持つアルコールチェッカーを選ぶことが大切です。
✓ アルコールチェッカーの機能の例
- スマホ連動機能
- 測定記録機能
- データ共有機能
なお、アルコールチェック管理サービス『スリーゼロ』では、検知器の検査結果画面を自動読み取り(OCR)でクラウド保存できるので、保存するまでの工数を大幅に削減できるでしょう。また、保存後の情報もクラウド上で一元管理でき、データ出力や運転日誌の確認などもスムーズに行えます。
アルコールチェッカーの故障が疑われた時の対応
アルコールチェッカーが故障した場合の対応は、安全運転管理者の重要な役割です。安全運転管理者は、正確に測定できるアルコールチェッカーを用意・管理しておく必要があります。
アルコールチェッカーには、使用期限や使用回数があります。一般的な使用期限は1年~1年半です。
使用期限でなく使用回数が決められている検知器も多く、既定の使用回数を超えるとセンサーが劣化してしまいます。使用開始日や使用回数を把握することにより、適切なタイミングで新しいアルコールチェッカーを準備できるでしょう。
アルコールチェックの実施・記録・保管は安全運転管理者の義務です。アルコールチェック管理の負担を少しでも軽減したい事業者は、アルコールチェック管理サービス『スリーゼロ』の導入を検討してはいかがでしょうか。
『スリーゼロ』は、測定結果をクラウド上で一元管理できるため、測定結果の記録・保存・管理の手間が軽減されます。アルコールチェックのほか、検査漏れチェックやアルコールチェック連動運転日誌のサービスが利用できるプランもご用意していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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アルコールチェッカーに関するよくある質問
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Q. 酒気帯び運転と見なされるアルコールチェッカーの数値基準は?
A. アルコールチェッカーで酒気帯び運転と見なされる基準は、呼気中のアルコール濃度を0.15mg以上含んだ状態です。あくまで基準のため、少量でもアルコール摂取した場合は運転しないようにしましょう。
アルコールチェッカーで酒気帯び運転になる数値は?詳しく解説! -
Q. アルコールチェッカーが反応しても飲酒していなければ運転させてよい?
A. アルコールチェッカーに反応してしまった場合、たとえアルコールを摂取していないとしても運転させないようにしましょう。飲食物・喫煙・薬・歯磨きなどの誤検知と考えられますが、反応しないための対策をしっかりしてから再度アルコールチェックを行う必要があります。
アルコールチェッカーを適切に使用し安全運転を実現しよう
アルコールチェッカーは、もしもの事故を起こさず運転するために重要な検査です。しかし、飲酒していないにも関わらずアルコールチェッカーが反応してしまうケースがあります。
誤検知を引き起こしやすい要因には、アルコールを含む飲料や食品、喫煙や医薬品、体調・体質など、さまざまなものがあります。正確にアルコールチェックを行うためにも、誤検知を防ぐための対応策をとることが大切です。
また、アルコールチェック業務は社用車を持つ事業者にとっての義務となっています。アルコールチェック業務の負担を減らすために、デジタルツールを活用し測定結果を記録・保存・管理するのがおすすめです。
株式会社AIoTクラウドでは社用車を持つ事業所に向けて『スリーゼロ』というアルコールチェック管理サービスを提供しております。『スリーゼロ』は、120種類以上の検知器に対応しており、市販のアルコール検知器を使ってアルコールチェックを行えます。
アルコールチェックの結果をクラウド上で一元管理できるうえ、直行直帰の際のアルコールチェックも確実に記録できるなど、正確かつストレスフリーに業務を勧められます。興味をお持ちの事業所の方は、ぜひお気軽にお問合せくださいませ。
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