建設・物流業界に向けて、IT点呼システムで業界を先導。サンコーテクノが展開する呼気アルコール検知器とは?

今回のインタビューでは、アルコール検知器協議会を設立した企業の1社であるサンコーテクノの機能材本部 機能材イノベーショングループの大戸さまにお話を伺いました。 建設資材の製造・販売を行っている同社が、どのような経緯でアルコール検知器を始めとするアルコールチェック義務化関連製品の開発・提供を開始したのか。また、アルコール検知器協議会の設立時から参画し、飲酒運転撲滅に対する取り組みを始めるに至った背景などについて、お話いただきました。

  • 2025/09/11 公開


「サンコーテクノ株式会社」とは?


――まず、サンコーテクノさまがどんな企業なのか教えてください。

「1964年に創立し、今年で創業61年周年を迎えます。主力事業であるアンカーボルトや特殊ねじなどを中心に、建設資材の製造販売を行っています。また『安全・安心・環境』をキーワードに耐震補強工事や太陽光関連工事の製品販売・現場管理など幅広い分野で事業を展開しています。」


――アルコール検知器事業に取り組まれたのはいつ頃からでしょうか?

「2010年頃に、建設資材以外の事業創出を目指し、アルコール検知器事業に参入しました。2011年5月に緑ナンバーでのアルコールチェック検知器の使用が義務化されたことも追い風となり、事業を拡大しました。現在では、緑ナンバーに加え白ナンバーのお客さまにもご導入いただくなど弊社の主要な事業セグメントとして定着しています。」


アルコール検知器メーカー「サンコーテクノ」による飲酒運転撲滅の取り組みとは


――アルコール検知器事業は立ち上げ後、どのように取り組まれているのでしょうか?


「検知器メーカー4社が発起人となり、2016年にアルコール検知器協議会(J-BAC)を設立したのですが、サンコーテクノはその際の設立メンバーです。飲酒運転の根絶を目指し、アルコール検知器の普及、企業の安心に貢献したいと考えています。それは単に製品を販売するのではなく『安全・安心・人に寄り添う姿勢を大切に』という思いの元、お客さまの声に耳を傾けお客さまの運用実態に合わせた最適なソリューション提案を大切にしています。」


――サンコーテクノさまはアルコール検知器だけでなく様々な製品ラインナップがありますね。

「パソコン連動型、顔写真撮影・プリント印字型、ハンディタイプ、スマートフォン連動型、IT点呼、遠隔点呼、自動点呼など、多様なニーズに対応できるよう整備しています。すべての機器に測定精度の高い電気化学式(燃料電池)センサーを採用し、J-BAC認定品としての品質を保証しています。」


――検知器有効保持に関して、導入後のサポートなどはありますか?

「導入後のサポートにも力を入れています。年1回のメンテナンスを実施してもらうことで、アルコール検知器の精度維持と安全性確保を図っているので、使用開始1年後には、メールでメンテナンスのご案内をしています。メールが届いたお客さまには、Webからメンテンナンスの申し込みをいただく流れで対応をしています。また検知器使用で不具合があった場合には、フリーダイヤルにお電話いただけるとサポートが可能です。その他にも社内教育のニーズがあるお客さまには、飲酒に関する安全教育の支援も行っています。」


――サンコーテクノさまの検知器サイトを見ると、アルコール検知器の有効期限年数の記載が「校正有効期限まで使用、または~」という形で回数の指定がありますが、それはなぜなのでしょうか?何年使用ができるのでしょうか?


「アルコール検知器は精密機器であり、アルコールセンサーは使用有無にかかわらず感度低下していくため、年1回のメンテナンスが非常に重要になります。そのため、年1回のメンテナンスをしっかりしてもらえるように、ある一定期間使うと検知器使用にSTOPがかかるような仕組みを搭載しています。使えなくなる前に、検知器自体からもリマインドが出るようにしてあります。」

――そんな機能が搭載されているのですね。検知器の有効期限管理は課題に感じている企業も多いと思うので、法令遵守の観点で非常に有効な仕組みですね。

おすすめのアルコール検知器と選び方


――では、オススメのアルコール検知器を教えてください。


「まず、アルコフェイスST-2000です。この検知器は顔写真撮影・プリント印字機能を備えています。シンプルなボタン操作で誰でも簡単に測定が可能なアルコール検知器です。マスタ登録やパソコンとの接続が不要で、導入もスムーズに行うことが可能です。測定中に顔写真を撮影し、顔写真が測定結果とともに印刷されるため、なりすまし実施防止などの不正防止にも効果的です。」


――プリント印字機能はなぜつけられたのですか?


「アルコール測定したあと、記録簿に記入をする企業が大半だと思いますが、お客様より『アルコール検査を実施したエビデンスを印字できないか?』というお声をいただき、印字できる仕組みを搭載したという経緯があります。

緑ナンバーのお客さまはアナログ的な運用を続けられている企業が多い事や白ナンバー事業者のお客さまで、事業所などでアルコールチェックを実施できる企業さまだと、プリント印字機能でエビデンスを残せるこの検知器を選ばれる企業さまが一定数いらっしゃいます。検査結果の中に顔写真もプリントされるので、紙を保管しておけば測定記録が全て紙に残るため、管理簿等へ転記する必要もなく管理者の負担軽減にも繋がります。」


――据え置き型はどんな風に使われる企業が多いのでしょうか?


「アルコフェイスST-2000はコンセントがあれば使用可能で、タイムカードの横に置いておくなどして使われるお客さまが多いです。定価は14万円と高価格にはなりますが、メンテナンスコストは、年額15,000円でセンサーモジュール交換できます。多くの運転者を抱える事業者は、ハンディタイプを全員に配布するより、結果としてリーズナブルになります。先々の事を考えると、高性能の新しいアルコール検知器約1台分の価格で翌年も使用可能なので、コスパはよいと考えています。」


――ハンディタイプのアルコール検知器についてもオススメをご紹介いただけますか?

「AF-50ADです。電気化学式(燃料電池)センサーを採用しており、誤検知も少なく正確な測定が可能です。Bluetoothを搭載している検知器のため、タブレットやスマートフォンとの連携が可能で当社製アプリ「TR-3」とも連携ができます。電気化学式(燃料電池)センサーを採用したモデルの中では、販売価格・メンテナンス費用ともに比較的リーズナブルで、導入後のサポート体制も充実しています。」



――AF-50ADはどういった背景があって製品化されたのですか?

「当社は緑ナンバーのお客さまが多い事もあり、長距離輸送している運転者の方など宿泊をともなう業務にて使用いただけるようにと製品化しました。当社が提供するアプリ「TR-3」をご利用いただく場合、月額1,800円と高めの価格設定にはなりますが、本体の交換費用、顔認証機能、測定データの管理などを含んだ料金となっております。当社製品を昔から使っていただいているお客さまにお選びいただいておりますが、もっとたくさんの企業さまに便利に使っていただきたいと考えているので、『スリーゼロ』のような他社サービスとのBluetooth連携なども進めていきたいと考えています。」

「サンコーテクノ」のアルコール検知器事業は検知器だけじゃない!


――サンコーテクノさんが製品化、販売されているのはアルコール検知器だけではないですよね?


「はい。緑ナンバー向けの製品にはなりますが『遠隔点呼システム』や『アルコフェイスモバイル』があります。」

――まず、『遠隔点呼システム』について教えてください。

「遠隔点呼とは、点呼実施者が離れた拠点から運転者の様子を映像などで確認し、対面点呼と同等に扱うことができる新しい点呼方式です。緑ナンバーの貨物・旅客事業者が利用可能なシステムで、当社では『ALC Face Air』という製品名で提供しています。開発の背景として、当社では以前より『IT点呼システム』を販売していましたが、こちらは安全性優良事業所としてGマークを取得した営業所間でのみ利用可能という制限がありました。そのため、Gマークを取得していない営業所でも24時間365日、対面点呼の代替として利用できる仕組みを求める声が多く寄せられ製品化に至りました。さらに今年中には『自動点呼システム』との併用も可能になる予定で、より一層の利便性向上をしていきます。今は業務後の点呼のみに自動点呼が認められていますが、出発時の自動点呼も認められるようになるので、自動点呼の方がいいかなというお客様も増えつつあります。」


――今後も注目されそうなサービスなのですね。では、続いて『ALC Face Mobile』について教えてください。

「遠隔地で対面点呼が行えない場合に活用できるアルコールチェックシステムです。先ほど紹介したAF-50ADが専用のアルコール検知器となっていて、スマホアプリと連携させることで、測定データをクラウド上の管理ソフトにリアルタイムでアップロードし、管理者が即時に確認できる仕組みにしています。顔認証機能を搭載しているので、なりすましを防止できるほか、測定結果は自動的に点呼記録簿に記録されるため、管理業務の効率化にも貢献します。開発のきっかけとして、点呼のデータを飛ばす仕組みがないかというお客さまの声がありました。そこから開発に着手し、開発当初はLTE通信でデータを飛ばしていました。その後ガラケーと連携し、最終的にスマホアプリになりました。」 ――時代と共にアップデートされているのですね。

アルコール検知器購入時の注意点とは


――アルコール検知器にお話を戻させていただきますが、購入時の注意点はありますか?


「アルコール検知器を買う場所によっては、検知器を販売後不具合などが発生した際にメンテナンス対応ではなく、機器交換で対応するような所もあると聞いています。そういった所から購入をしてしまうと、原因究明までは対応してもらえず不具合の原因がわからないままになってしまうためアルコール検知器を使用する側としては使い方や日々のメンテナンス方法があっていたのかなど不安が残るのではと思います。原因を調べメンテナンスしてくれるところから購入いただく方が安心できるのではと考えています。そのため、アルコール検知器のメンテナンスができる施設を持っているメーカーから購入された方がよいと考えています。」


――アフターフォローがしっかりしていると安心できますね。購入時、コスト面等で注意するべき点はありますか?


「はい。導入時の初期費用だけで判断しないことも大切です。アルコール検知器は導入して終わりではなく、日々の運用に関わるランニングコストも重要です。消耗品の交換頻度やメンテナンスなど、長期的な視点でのコストを見ていただくことが大切です。また検知器の管理・運用が、現場の管理者や使用者にとって負担なく、かつ安全をしっかり担保できるかどうかも重要なポイントです。価格だけでなく、性能や使いやすさなども含めて総合的に検討することをおすすめします。」


――購入時だけでなく、普段使用する際に注意すべきポイントはあるのでしょうか?


「普段、使用する際の注意点としては整髪料、香水、汗拭きシートなどは、アルコール濃度が高く含まれているのでアルコール検知器と一緒にカバンの中に入れていると、揮発してアルコール検知器のセンサーを少しずつ悪くさせていきます。またアルコール検知器を車の中に置きっぱなしにすることもよくありません。車内に置く芳香剤もアルコール成分が微量に入っているので、そういった香料もセンサーに良くない影響を与えます。また車中は寒暖差が激しいので精密機器を置いておく環境としてはおすすめできません。特に匂いを発するものの近くに置かないでほしいと思っています。」


――なるほど、夏は汗拭きシートを使う方も増えそうですし注意が必要ですね。


「実は、直行直帰で使うシチュエーションで誤検知が多いのは、センサー起因ではなく日々の取り扱いが原因となる場合もあります。緑ナンバーでは少なくとも1週間に1回は検知器が正常に動作しているか確認することが義務になっていますが、確認方法としてアルコール成分を含んだ呼気でアルコールチェックする方法があります。口に含むアルコールの量や濃度でも変わってくるので専用マウスウォッシュを使うことがおすすめです。専用マウスウォッシュを1プッシュしてすぐに吹いてもらえたら異常に気が付きやすくなっています。

口臭予防などの市販マウスウォッシュは、アルコール濃度が高くなり、アルコール検知器の劣化を早めてしまいます。検知器で表示される数値には上限が決まっている場合が多く、その数値以上に高い数値がでている場合もあります。そうなるとセンサーのダメージも大きくなり、低濃度のアルコール検知が出来なくなることもあるため注意が必要です。」


――メンテナンスをしていたつもりで知らない間にセンサーを悪くしている可能性があるのは怖いですね。

「サンコーテクノ」さまのアルコール検知器導入事例


――サンコーテクノさまのお客さまは緑ナンバーが多いとのことですが、具体的にはどういった企業様が多いのでしょうか?


「主要なお客様は運送事業者さまが大半を占めており、次いでバス・タクシー事業者、鉄道事業者など、公共交通機関を運営されている企業さまにも広く導入いただいています。

当社製品は、多人数対応の据え置き型検知器を中心に、緑ナンバー車両を保有する事業者さま向けに最適化されたソフトウェアを提供していて、お客さまの運用形態に応じたカスタマイズのご要望にも柔軟に対応し、これまで多くの実績を積み重ねてきました。こうした対応力が、業界内での信頼や支持につながっていると考えています。」


――真摯にお客さまに対応されるサンコーテクノさまに魅力を感じ、選ばれる企業さまが多いのですね。導入いただいた企業さまのエピソードもお伺いできますか?


「あるバス事業者さまでは、出勤時の点呼にてアルコール検知器を使用していましたが、マイカー通勤の従業員が多く、自宅での事前チェックの体制強化を検討されていました。しかし、約3,000名の従業員に1人1台の検知器を配布するには大きなコストがかかります。そこで、安価な検知器を導入したものの、性能に不安があり、測定日時の記録が残らないという課題が浮き彫りになりました。実際に出勤時にアルコールが検出された際、  自宅では反応がなかったと主張されても、それを証明する手段がなく、企業としても対応に苦慮されていました。

万が一、通勤途中に酒気帯び運転による事故が起きれば、企業責任が問われるだけでなく、従業員本人やそのご家族の人生にも大きな影響を及ぼします。だからこそ、お客さまは『人の命を預かる仕事』にふさわしい安全管理体制を築く必要があると強く感じていらっしゃいました。

当社の、AF-50ADは測定日時の記録が残り、かつ信頼性の高い検知器のためこの製品をご提案したところ初期費用が高額にはなりますが、5年間のイニシャルコストとランニングコストを含めた比較資料を作成し、安価な検知器との違いやメリット・デメリットを丁寧にご説明しました。

最終的に、企業倫理として『安全に対する投資は惜しむべきではない』とのご理解をいただき、AF-50ADの導入に至りました。この導入事例は、企業が安全と信頼を最優先に考え、未来を守る選択をされたエピソードの一つです。」


――最近は緑ナンバーで事故や報道が相次いでいますもんね。こういった意識の元取り組まれるお客さまも、しっかり応えられるサンコーテクノさまも安全運転管理の意識が高く、良いエピソードですね。


■サンコーテクノさまインタビューのポイント

アルコール検知器に関するお話をサンコーテクノさまに伺いました。最後にポイントを整理します。

1. アルコール検知器協議会発起企業の1社

…「飲酒運転撲滅」の取り組みを長きにわたり実施されている。2010年からアルコール検知器事業をスタートさせている老舗メーカー。


2. アルコール検知器だけでなく点呼システムなども提供している

…遠隔点呼システムなど、アルコール検知器に留まらず企業の安全運転管理をサポートしている

3. アルコール検知器は日常使いの中でも注意点が必要

…整髪料、香水、汗拭きシートなど、アルコール濃度が高く含まれているものの近くに置いておくのは注意が必要。特に持ち歩きのカバンの中などは気を付けるとよい。

安全運転管理に意識高く取り組まれているサンコーテクノさまならではのお話をたくさんお伺いすることができました。サンコーテクノさまのアルコール検知器は緑ナンバーだけでなく白ナンバー事業者さまでも活用いただけるものとなっていますので、企業さまのアルコール検知器の選定にお役立てください。

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サンコーテクノさまが提供するアルコール検知器(AF-50AD)はアルコールチェック管理サービス『スリーゼロ』にも対応しています。

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