アルコールチェック記録簿の運用は、安全運転管理者にとっての義務です。では、アルコールチェック記録簿の必要項目や保管方法はどのようなものがあるのでしょうか。この記事ではアルコールチェック記録簿の概要を解説するほか、おすすめのひな形や管理方法も紹介するので、ぜひ自社で運用する際の参考にしてみてください。
- 2022/07/07 公開
- 2024/07/29 更新
目次
アルコールチェック義務化により記録簿の保管が必要となった
2022年4月の道路交通法の改正により、一定台数以上の白ナンバー車両(一般の営業車や社有車)を使用する事業所にもアルコールチェックが義務化されました。対象となる事業所は、業務開始前後の運転者の状態とアルコール濃度を確認し、その結果を記録・保管しなければなりません。
法改正の背景には、2021年6月に千葉県八街市で発生した飲酒運転の事故があります。事故を起こしたトラックは、当時アルコールチェック対象外の白ナンバーであったことから、再発防止のために義務化の対象が拡大されました。
以下の記事はアルコールチェック義務化について詳しく解説しております。事業所の総務・管理者様が知っておきたい内容を網羅しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
アルコールチェック義務化の対象となる事業所
アルコールチェック義務化の対象となるのは、業種に関係なく以下のいずれかの条件に該当する事業所です。
- 乗車定員が11人以上の自動車 1台以上を使用する事業所
- その他の自動車 5台以上を使用する事業所
※大型自動二輪車又は普通自動二輪車は、それぞれ1台を0.5台として計算
対象となる事業所は、安全運転管理者の選任と、安全運転管理者によるアルコールチェックの実施が義務付けられています。
また、選任された安全運転管理者はアルコールチェックの記録簿を付け、1年間保管する義務があると道路交通法で定められています。(出典:警視庁「安全運転仮者等法定講習」)
以下記事では、安全運転管理者について詳しく解説しております。事業所様が知っておきたい内容を網羅しておりますのでぜひご覧ください。
安全運転管理者とは?
選任基準や資格について
詳しい解説はこちら
また、アルコールチェック記録簿に記載する事項や記録簿の保管方法は、以下で詳しく解説します。
アルコールチェック記録簿の必要項目
アルコールチェック記録簿の様式はとくに定められていないため、フォーマットは基本的に自由となっています。ただし、以下の内容は必ず記載しなければならないため、フォーマットを作成する際は抜け漏れがないよう、細心の注意が必要です。
- 確認者名
- 運転者名
- 運転者が業務で使用する自動車の自動車登録番号又は識別できる記号・番号等
- 確認の日時
- 確認の方法
- 対面での確認でない場合は確認方法を具体的に記載
- 酒気帯びの有無
- 指示項目
- その他必要な事項
(出典:警視庁「交通安全情報」)
アルコールチェック記録簿の保管方法は2パターンある
アルコールチェック記録簿の保管方法には、「紙」と「データ」の2通りあります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、企業の規模や業務内容、従業員数に応じて最適な保管方法を選ぶようにしましょう。
紙で保管する方法 | データで保管する方法 | |
---|---|---|
メリット |
・すぐに運用を始められる ・運用コストを抑えられる ・運用方法がわかりやすい |
・データのバックアップができる ・保管のスペースが必要ない ・効率的な管理ができる |
デメリット |
・紛失や破損のリスクが高い ・保管のスペースが必要となる ・管理に手間がかかる |
・運用開始までに時間がかかる ・運用コストが高い ・運用方法が複雑になりやすい |
紙で保管する方法
紙で保管する方法の場合、記録簿を紙媒体で記入し専用のファイルやバインダーに整理して保管します。紙での運用のメリットは、フォーマットを作成すればすぐに運用を開始できるほか、特別な機器やソフトウェアが必要ないため運用コストが抑えられる点です。
一方で、紙を保管するためのスペースが必要となり管理が大変なうえ、データの検索や集計にも手間を要し、紛失や破損のリスクもあります。さらに、紙媒体は回収の手間がかかるため、とくに直行直帰が多い事業所は回収漏れのリスクも高くなります。
以上の点から、紙での運用は小規模な事業所向きの保管方法といえるでしょう。
データで保管する方法
データで保管する場合、ITツールを活用し記録簿をデジタルデータで保管します。データでの運用は物理的な保管スペースが必要なく、検索や分析も迅速に行えるため、効率的な管理ができる点が最大のメリットです。
なお、Excelでの管理の場合、紙と同じようなリスク・負担があるため、とくにクラウド上での保管がおすすめできます。
クラウドサービスを利用すれば、パスワードやアクセス権限設定によって情報漏洩のリスクを抑えられるほか、定期的にデータのバックアップが行われるため、紛失や破損のリスクも大幅に減らせます。
一方で、データでの運用にはコストがかかる点や、ツールの使い方や運用ルールを従業員に理解してもらう必要があるため運用開始までに時間がかかる点がデメリットです。
アルコールチェック記録簿の運用の流れ
- 出勤時or業務開始前に安全運転管理者が目視等で運転者の状況を確認する
- 運転者が検知器を用いて呼気中のアルコール濃度を測定し、結果を記録簿に記入する
- 退勤時or業務終了後に安全運転管理者が目視等で運転者の状況を確認する
- 運転者が検知器を用いて呼気中のアルコール濃度を測定し、結果を記録簿に記入する
- 安全運転管理者が記録簿の内容を確認し、不備があったら差し戻す
- 安全運転管理者が記録簿を1年間保存する
- 定期的に記録簿を整理し、古い記録は適切な保管場所に移動するか廃棄する
アルコールチェックでは安全運転管理者の目視による運転者の状況確認と、検知器を用いたアルコール濃度の測定が必要です。原則として安全運転管理者が対面で実施します。
ただし、直行直帰や出張時など対面での実施が難しい場合は、スマートフォンやカメラなどを用いて「対面に準ずる方法」で実施することも可能です。
アルコールチェックが終わった後は、安全運転管理者が記録簿の内容を確認し、不備がなければその後1年間記録簿を保管します。なお、アルコールチェックの実施タイミングは業務開始前後の2回で、乗車・降車のたびに行う必要はありません。
【一覧】アルコールチェック記録簿のひな形
アルコールチェック記録簿の様式は定められていません。都道府県の安全運転管理者協会が提供しているひな形なら信頼性が高く、必要な項目も網羅されているため、安心して活用できます。これらのひな形は、以下のリンクからダウンロード可能です。
-
少ない枚数で管理しやすい記録様式
提供元:島根県安全運転管理者協会 -
車両ごとに管理しやすい記録様式
提供元:千葉県安全運転管理協会 -
日付ごとに管理しやすい記録様式
提供元:鹿児島県安全運転管理協議会
アルコールチェック記録簿の保管を怠ったらどうなる?
アルコールチェック記録簿を保管しなかった場合、どのような罰則があるのでしょうか。結論として、もしアルコールチェック記録簿の保管を怠ったとしても、現時点では道路交通法において罰則は設けられていません。
しかし、これは安全運転管理者の業務違反に該当する行為です。公安委員会から安全運転の確保ができていないとみなされた場合には、是正措置や安全運転管理者の解任を命じられる可能性があります。なお、命令に従わない場合には50万円以下の罰金が科せられます。
安全運転管理者は記録簿をつけるだけでなく、1年間保管することも忘れずに行いましょう。
アルコールチェック記録簿の管理を効率的に行う方法
アルコールチェック記録簿の保管は紙とデータのどちらでも問題ありませんが、効率的な管理を目指すのであれば、データでの運用がおすすめです。
とくにクラウド上で管理すれば、書類やExcelよりもデータの収集・分析がしやすいうえ、定期的にデータのバックアップが行われるためセキュリティ面でも安心できます。
もし、アルコールチェックのクラウドサービスをお探しであれば、『スリーゼロ』の導入を検討してはいかがでしょうか。『スリーゼロ』とは、事業所向けのアルコールチェック管理サービスです。市販のアルコール検知器で酒気帯びの有無をチェックし、スマホアプリ経由で検査記録をクラウド上に一元管理できます。
クラウド上で簡単に管理できるうえ、運転者が直行・直帰する場合も確実に検査できる点でも好評をいただき、多くの企業で導入されています。実際に、「管理の負担を大幅に削減できた」というお声も多数いただいております。
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アルコールチェック記録簿に関するよくある質問
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Q.アルコールチェック記録簿をつけるのは義務?
A.アルコールチェック記録簿をつけるのは義務です。2022年の道路交通法改正により、アルコールチェックが義務化されるのに併せて、アルコールチェック記録簿をつけるのも義務化されました。
アルコールチェック義務化を怠ると、運転者の酒気帯び運転が発覚した場合、安全運転管理者の業務違反となり公安委員会から解任命令が下される可能性があるため注意しましょう。 -
Q.アルコールチェック記録簿の保管期間は?
A.アルコールチェック記録簿の保管期間は1年間です。これは道路交通法施行規則第9条の10で義務付けられています。社用車を利用する頻度が高いと保管が大変になるため、保管・管理しやすい体制を整えておく必要があります。
アルコールチェック記録簿は適切な管理が必要
近年は社会全体で飲酒運転撲滅の気運が高まっていることもあり、アルコールチェックの適切な運用はリスクマネジメントの意味でも非常に重要です。とくにアルコールチェック記録簿を紙で運用している場合、管理が煩雑で抜け漏れも発生しやすくなるため、運用方法の見直しも検討してみましょう。
自社のアルコールチェックの運用に課題を抱えているのであれば、本記事でも紹介したアルコールチェック管理サービス『スリーゼロ』の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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