アルコール検知器は飲酒運転を防ぐために必要なアイテムです。
2022年4月からは白ナンバー事業者に向けた目視等でのアルコールチェックが義務化されました。元々は同年10月からアルコール検知器を使用した検査が必要になるとされていましたが、検知器の流通の問題等から延期されています。
既に導入済みの事業者様や、個人でアルコール検知器を使って酒気帯びを確認している方々の中で、お酒を飲んでないのにアルコール検知器が反応してしまった経験がある方はいらっしゃると思います。
家を出る前や業務開始直前に検知器が反応してしまうと業務に支障をきたしてしまいますよね。
そこで、今回はお酒を飲んでないのにアルコール検知器が反応してしまう原因やアルコール検知器の日常点検の方法などをご紹介していきます。
- 2022/12/28 公開
目次
1.アルコールを飲んでないのにアルコール検知器が反応することはある?
結論としてはあります。
反応の原因としては様々で、前日のアルコールが残ってしまっているケースや、直前に口にした食べ物、飲み物などの影響が考えられます。
発酵食品なども検知器が誤検知を起こす要因となっており、実際に出勤途中の社内で蒸しパンを食べた高槻市のバスの運転手がアルコールの検査に引っかかった事例もあります。
運転業務がある前日の飲酒、直前の薬服用や喫煙、歯磨きなどの他にも、環境要因(温度、湿度、雑ガス、気圧等)などによって表示値に影響を及ぼす可能性もあるので注意しましょう。
それでは、どうやって誤検知を防いだら良いのでしょうか?
基本的には、アルコール検査前に飲食したものや、口腔内の影響を避けるために、うがいを行うことやアルコール検査前は手指の洗浄剤、制汗シートなどのアルコール成分を含むものの使用を控えることなどが挙げられます。
その他にも、検知器を販売している業者の指示、説明書をしっかりと把握することが誤検知を減らすためには重要です。
国土交通省 アルコール検知器の種類に関する情報共有
http://www.mlit.go.jp/common/001288867.pdf
2.法律で定められたアルコール検知器の基準
アルコール検知器は、法律にあった形の検知器を使用しないと意味がないと思ってらっしゃる方も多いと思います。
この章では、国家公安委員会が定めたアルコール検知器の基準をご紹介します。
アルコール検知器の性能
国家公安委員会が定めるアルコール検知器は、呼気中のアルコー ルを検知し、その有無又はその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有するもの。
上記を満たしている検知器であれば利用可能ですが、検知器には使用状況や検知方式の違いなど多くの種類が存在しています。
3.アルコール検知器の種類
アルコール検知器の種類は大きく設置方式、検知方式、結果の管理方法の違いがあります。
設置方式の違い
2つにわかれており、据え置き型(設置型)と携帯型があります。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
据え置き型(設置型) | 管理者が近くにいるため、不正を防止できる | コストがかかる |
携帯型 | 小型で軽量である | なりすましなどの可能性がある |
検知方式の違い
こちらも2つにわかれており、半導体センサーと電気化学式センサー(燃料電池式センサー)があります。
それぞれのメリットとデメリットは下記のようになっています。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
半導体センサー | 短時間で測定できる | 劣化が早い |
電気化学式センサー | 周囲に影響されにくいので誤作動の可能性が低い | 測定に時間がかかる |
結果の管理方法の違い
アルコール検知器の検査結果の管理方法は大きく4つあります。
記録機能が無いものや本体に検査結果が保存されているタイプは、紙もしくはPCに手打ちするなどでデータを管理する必要があります。
プリントアウトタイプでは、検査結果がプリントアウトされるので、その紙を使って検査結果を管理します。
専用ソフト・パソコン接続タイプでは、専用のソフト等を用いてPCでデータ管理を行います。
最後にクラウド保存タイプですが、実施したアルコールチェックの検査データをクラウド上に保存でき、そこでデータ管理を行います。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
記録機能無し、本体保存タイプ | 手軽に始められる | すべての手続きが必要 |
プリントアウトタイプ | ||
専用ソフト・パソコン接続タイプ | データはPCで管理でき、PCから結果を確認できる | PCが故障した場合は復旧が大変 |
クラウド保存タイプ |
このように、いくつかの観点で見たときにそれぞれメリットデメリットがあるので、ご自身の運用方式に合った検知器を導入しましょう。
アルコール検知器の種類や、義務化の基本的な情報をまとめた資料はコチラからダウンロードしていただけます。ぜひ、お役立てください。
4.アルコール検知器の日常点検
ここではアルコール検知器の日常点検方法について説明します。
国土交通省はアルコール検知器の保守について以下のように定めています。
運行管理者はアルコール検知器を故障がない状態で保持しておくために、アルコール検知器の製作者が定めた取扱説明書に基づき、適切に使用し、管理し、及び保守するとともに、次の事項を実施しなければいけません。
毎日確認※
電源が確実に入ること。
損傷がないこと。
※遠隔地で乗務を終了または開始する場合等、アルコール検知器を運転者に携行させ、又は自動車に設置されているアルコール検知器を使用させる場合にあっては、運転者が所属営業所を出発する前に実施すること
少なくとも週1回以上確認
酒気を帯びていない者がアルコール検知器を使用した場合に、アルコールを検知しないこと。
アルコールを含有する液体又はこれを希釈したものを、口内に噴霧した上でアルコール検知器を使用した場合に、アルコールを検知すること。
国土交通省 点呼の際のアルコール検知器の使用について
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03alcohol/
アルコール検知器のセンサーは使用によって劣化するので、検知器ごとに定められた使用回数、期限を守り、精度維持のための修理、メンテナンス、校正、交換が必要になります。各検知器メーカーの指示に従ってしっかりとメンテナンスを行うことを推奨します。
5.まとめ
本コラムではお酒を飲んでいないのにアルコール検知器が反応してしまう原因やアルコール検知器の種類、日常点検方法などを解説しました。
アルコールを飲んでいなくても飲食物などで検知器が反応してしまうので、飲酒していないのに反応してしまって業務が滞らないように注意しましょう。
また、アルコール検知器をご購入されている方もされていない方もいらっしゃると思いますが、アルコール検知器の種類や記録の管理方法などをしっかりと把握して、ご自身の運用に合ったものを選びましょう。
紙管理とクラウド管理の違いの解説や、安全運転管理者の選任と業務についての解説なども紹介しているので合わせてご覧ください。
また、弊社ではアルコールチェックの負担を減らすことができるアルコールチェック管理サービス『スリーゼロ』もご提供しておりますので、ご興味ありましたらご覧ください。
担当K.Y.