【2024年】アルコールチェック義務化の罰則は?安全運転管理者のリスクを解説

2022年4月に厳格化されたアルコールチェックの義務化。これを遵守しない事業所には、何らかの罰則が科されるのでしょうか。安全運転管理者に選任された方はとくに気になる内容でしょう。この記事では、アルコールチェック義務化の内容を含め、それに違反した場合の罰則について詳しく解説していきます。

  • 2024/08/30 公開

目次

  1. アルコールチェックの義務化とは
  2. アルコールチェック義務を違反した場合の罰則
  3. 安全運転管理者制度を違反した場合の罰則
  4. 従業員が飲酒運転・酒気帯び運転した場合の罰則
  5. アルコールチェック義務化を遵守しない企業のリスク
  6. 罰則を受けないためのアルコールチェックのポイント
  7. アルコールチェック義務化に関してよくある質問
  8. アルコールチェックの記録・保管は確実に行いましょう


アルコールチェックの義務化とは

アルコールチェック義務化とは、対象となる事業所内で安全運転管理者を選任し、従業員である運転者の酒気帯びの有無を確認することを法令で義務付けたものです。

2023年12月1日から、国家公安委員会が定めるアルコールチェッカーでアルコールチェックを行うことが義務化されました。アルコールチェックを実施しなかった場合、事業所にはどのような罰則が科されるのか、以下で詳しく解説します。

なお、安全運転管理者を選任しない場合も安全運転管理者制度の違反となるため、こちらの罰則も含めて確認していきましょう。


◾️ アルコールチェック義務化が開始された時期と内容

まず、アルコールチェック義務化が開始された時期と内容について確認しましょう。

アルコールチェックの義務化の第一段階として、目視等での確認が2022年4月1日から義務付けられました。そして、第二段階として、現在のアルコールチェッカーを使用した確認が2023年12月1日から義務化されました。具体的な内容は以下のとおりです。

第一段階(2022年4月~2023年11月末) 第二段階(2023年12月~現在)
  • 目視等で運転前後の運転者を酒気帯びの有無の確認をする
  • 酒気帯びの有無の確認を記録し1年間保管する
  • アルコールチェッカーを用いて運転者の酒気帯びの有無の確認を行う
  • 酒気帯びの有無の確認を記録し1年間保管する

出典:警察庁|安全運転管理者の業務の拡充等


◾️ アルコールチェック義務化の対象となる企業

  • 定員11人以上の自動車を1台以上使用している事業所
  • その他の自動車を5台以上使用している事業所
安全運転管理者の届出対象事業者

緑ナンバーと白ナンバーどちらの車両もアルコールチェック義務化の対象となります。2011年5月1日からすでにアルコールチェック義務化が行われていましたが、そのときの対象は緑ナンバーのみでした。

しかし、2021年6月28日に千葉県八街市で白ナンバーのトラックの飲酒運転による死亡事故が発生し、この事故をきっかけにアルコールチェック義務化は厳格化されます。

具体的には、この事故のあと2022年4月に改正道路交通法が施行され、白ナンバー車両の運転手にもアルコールチェックが義務化されました。

✓白ナンバーと緑ナンバーの違い

白ナンバー:自家用自動車に対して交付されるナンバープレート
緑ナンバー:事業用自動車に対して交付されるナンバープレート

アルコールチェック義務化についてさらに詳しく知りたい方はこちら



アルコールチェック義務を違反した場合の罰則

安全運転管理者はアルコールチェックの実施、結果の記録、報告、必要な書類の提出、運転者への安全運転教育を行うなどの義務があります。ただし、現段階ではこれらを行わなかったことに対して罰則は、とくに定められていません。

罰則は定められていないものの、もしアルコールチェック義務を遂行しなければ、公安委員会によって安全運転管理者の解任命令が下る可能性があります。この解任命令に従わない場合、50万円以下の罰金刑が科せられます。

また、従業員が飲酒運転で交通違反をした場合、事業所も同等の罰則が科せられるため、アルコールチェックは必ず行うことが重要です。

アルコールチェック義務を違反した場合に加えて、安全運転管理者制度に関する罰則や従業員が交通違反をした場合の罰則についても以下で確認していきましょう。



安全運転管理者制度を違反した場合の罰則

安全運転管理者が正しくアルコールチェック義務を遂行するために、警察庁では安全運転管理者制度を定めています。安瀬運転管理者制度の概要はこちらからご覧ください。

では、安全運転管理者制度を違反した場合には、どのような罰則が科されるのでしょうか。以下で、違反内容と罰則を確認していきましょう。

違反内容 罰則
[選任義務違反]
乗車定員11人以上の自動車を1台以上使用している事業所・その他の自動車を5台以上使用している事業所で、安全運転管理者を選任する義務があるのに選任していない。
50万円以下の罰金
[解任命令違反]
公安委員会は安全運転管理者が適切に職務を遂行できないと判断し、使用者に対し、当該安全運転管理者の解任を命じたにもかかわらず、選任を継続したり、再び選任したりしている。
50万円以下の罰金
[是正措置命令違反]
公安委員会が使用者に対し、その是正のために必要な措置をとるべきことを命じたのに、是正措置を行わない。
50万円以下の罰金
[選任解任届出義務違反]
安全運転管理者や副安全運転管理者の選任・解任をしたのに、選任した日から15日以内に当該自動車の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会に届出をしていない。
5万円以下の罰金

出典:e-gov法令検索「道路交通法」

安全運転管理者制度に違反している場合、道路交通法に基づき以上のような罰則が定められています。安全運転管理者の選任および届出を行うことはもちろん、もし解任命令が下されたときは従うようにしましょう。



従業員が飲酒運転・酒気帯び運転した場合の罰則

従業員が飲酒運転もしくは酒気帯び運転してしまった場合、そのとき運転していた従業員だけでなく事業所や同乗者も責任が問われます。具体的にはどのような罰則が科せられるのか、以下で見ていきましょう。

◾️ 【運転者に対する罰則】

違反種別 呼気1リットル中のアルコール濃度 違反点数 罰則
酒気帯び運転 0.15mg以上0.25mg未満 13点
  • 最低90日間の免許停止
  • 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
0.25mg以上 25点
  • 免許取り消し処分と最低2年間の欠格事由となる
  • 3年以下の懲役または50万円以下の罰金
酒酔い運転 35点
  • 免許取り消し処分と最低3年間の欠格事由となる
  • 5年以下の懲役または100万円以下の罰金

出典:警視庁「飲酒運転の罰則等」

アルコールを摂取して運転をした運転者に科される罰則は、酒気帯び運転と酒酔い運転で異なります。酒気帯び運転は呼気1リットル中のアルコール濃度に基づいて設定されており、酒酔い運転は運転者の状態によって判断されます。

従業員が飲酒していると知りながら運転させていた場合、事業所にも罰則が下されます。具体的な罰則の内容は以下の通りです。

◾️ 【事業所に対する罰則】

従業員が酒酔い運転 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
従業員が酒気帯び運転 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

出典:警視庁「飲酒運転の罰則等」

さらに、この後運転すると分かっていながら飲酒を勧めた者、また飲酒していると分かっていながら同乗した者にも厳しい罰則が科されます。

◾️ 【酒の提供者・同乗者に対する罰則】

従業員が酒酔い運転 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
従業員が酒気帯び運転 2年以下の懲役又は30万円以下の罰金

出典:警視庁「飲酒運転の罰則等」

以上のように、従業員が飲酒運転した場合、運転者だけでなく事業所や他の従業員まで処罰される可能性があります。事業所の責任者や従業員は、飲酒している者を運転させないこと、また運転の予定がある者に酒を勧めないことを厳守すること必要です。

なお、事業所は従業員の飲酒運転により、罰則以外の大きな損害を負うケースも考えられます。以下で、事業所のリスクについてもう少し詳しく見ていきましょう。



アルコールチェック義務化を遵守しない企業のリスク

アルコールチェックを適切に行わなければ、運転者の飲酒運転事故の可能性が高まることは言うまでもありません。運転者が飲酒運転事故を起こした場合、企業には次の3つのリスクが浮上します。


◾️ 罰金・慰謝料による経済的損失

罰金や被害者への慰謝料による経済的損失を負うリスクがあります。運転者の業務中の飲酒運転により、事業所も同様に罰則が科せられるケースがあります。

酒酔い運転の場合は5年以下の懲役または100万円以下の罰金、酒気帯び運転の場合は3年以下の懲役または 50万円以下の罰金です。

また、交通事故を起こすと刑事訴訟だけでなく民事訴訟でも莫大な慰謝料が発生する可能性があります。これらの経済的負担によって、倒産に至るような致命的な事態が起こり得ることも否定できません。


◾️ 罰則による人的損失

罰則による人的損失が起こるリスクがあります。飲酒運転した従業員には罰金または懲役、免許停止・免許取り消しなど重い罰則が科せられるため、違反者がすぐに通常の業務に復帰することは難しく、最悪の場合退職になるケースも考えられます。

企業は新しく運転者を採用する必要が出てきますが、採用まで欠員をカバーしなくてはならないため、従業員1人ひとりの負担が大きくなるでしょう。また、社内のリソースを採用活動に割くことも必要となってきます。

従業員の飲酒運転により、他の従業員も被害を受ける可能性があるということです。


◾️ 企業に対する信用の損失

企業に対する信用の損失もリスクの1つです。飲酒運転で大きな事故を起こした場合、会社の責任に関する内容がニュースなどで報じられる可能性があります。昨今はSNSで拡散されることもあり、運転者の飲酒運転を防げなかった事実が一気に広まってしまうでしょう。

飲酒運転の事故に対する世間の目は厳しいです。顧客や取引先だけではなく、あらゆる関係者に影響が及び、その信用を回復するには長い時間かかると見込めます。



罰則を受けないためのアルコールチェックのポイント

厳しい罰則や損失を受けないためにも、事業所は従業員に対するアルコールチェックを徹底する必要があります。ここでは、正しくアルコールチェックするための4つのポイントを見ていきましょう。


◾️ 適格な安全運転管理者の選出

適格な安全運転管理者を選出することが、アルコールチェックにおいて重要です。安全運転管理者は、法令に基づき適切な資格と経験を持っている者を選任する必要があります。

安全運転管理者の業務は、アルコールチェックの実施と記録管理、従業員への教育など多岐にわたります。また、安全運転管理者は定期的に研修を受け、最新の法令や安全運転管理の知識・技術を更新することも必要です。

そのため、選任する人の性格や長所など本人の特性も見て適格な者を選任しましょう。

安全運転管理者になれるのはどんな人?
なるための資格などを解説


◾️ 使いやすいアルコール検知器の準備

使いやすいアルコール検知器を準備することもアルコールチェックのポイントです。信頼性が高く、法令に準拠していることに加えて、使いやすいアルコール検知器を選定しましょう。

アルコール検知器が適切に使えず、アルコールチェックに支障がでる事態は避けるべきです。簡単な操作性で、メンテナンスなど管理がしやすいアルコール検知器を選びましょう。


◾️ 従業員への教育と啓発

アルコールチェックに関する従業員への教育と啓発も大切なポイントです。単に法令で定められているからではなく、アルコールチェックの目的・重要性を理解してもらうことで、従業員に協力してもらいやすくなります。

定期的な研修や説明会を実施し、アルコールの影響やリスク、アルコールチェックの手順を指導することが大切です。相談窓口を設置するなどして、従業員が安心してアルコールチェックを行える環境を整えましょう。


◾️ アルコールチェック管理サービスの導入

アルコールチェックに関する業務は事業所にとって負担が大きいものとなるため、その負担を軽減するシステムを導入するのがおすすめです。

社用車を利用する場合、アルコールチェックは運転前後の2回行う必要があり、かつその内容を正確に記録して保存する必要があります。さらに、アルコールチェックの測定値や従業員の健康状態、勤務状況などに対して、厳格な記録・管理体制が求められます。

記録をデジタル化することで管理が容易になり、データの検索や分析も迅速に行えるようになるでしょう。

株式会社AIoTクラウドでは社用車を持つ事業所に向けてアルコールチェック管理サービス『スリーゼロ』を提供しております。スリーゼロでは、市販のアルコール検知器を使ってアルコールチェックを簡単かつ確実に行えるうえ、結果をクラウド上で一元管理することができます。

記録・管理の負担が大きいアルコールチェックに関する業務も、スリーゼロにより正確かつストレスフリーに行えます。アルコールチェックに関する業務の負担を減らしたい事業所は、ぜひスリーゼロの導入をご検討ください。

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アルコールチェック義務化に関してよくある質問

  • Q.アルコールチェックの記録に不備があった場合は罰則の対象となる?
    A. アルコールチェックの記録に不備があっても罰則の対象となりません。しかし、アルコールチェックの記録を保存することは、安全運転管理者の義務です。
    そのため、直接的な罰則はありませんが、アルコールチェックを怠った場合と同様に公安委員会から解任命令が下され、これに従わないと罰金が科される可能性があります。
    万が一、記録に不備があり実際に飲酒運転してしまっていた場合、飲酒運転を見逃してしまったこととなります。罰則の対象とならなくても、記録の不備は容認されません。
  • Q.アルコールチェックの記録は定期的に調べられる?
    A. 2024年7月の段階では、アルコールチェックの記録を定期的に報告・提出するなどの規定はありません。ただし、もし事故が起きたとき、きちんとアルコールチェックしていたか確認するために記録の報告・提出が求められる可能性があります。いつでも報告・提出できるように1年間は必ず記録簿を保管しておきましょう。


アルコールチェックの記録・保管は確実に行いましょう

アルコールチェックは義務化されています。安全運転管理者はアルコール検知器を使ってアルコールチェックを実施し、適切に記録・保管を行うことが必要です。

アルコールチェックを怠った場合に直接的な罰則はありませんが、安全運転管理者の義務違反となります。解任命令が下されそれに従わない場合、解任命令違反となり罰則が科せられます。

安全運転管理者は自身の業務に責任を持ち、事故の発生を防ぐためにもアルコールチェックの記録・保管を確実に行いましょう。

アルコールチェックに関する業務の負担が大きいとお困りの事業所は『スリーゼロ』の導入を検討してみてはいかがでしょうか。スリーゼロは120種類以上の検知器に対応しており、市販のアルコール検知器を使ってアルコールチェックを行えます。

アルコールチェックの結果をクラウド上で一元管理できるうえ、直行直帰の際のアルコールチェックも確実に記録できるなど、正確かつストレスフリーに業務を勧められます。興味をお持ちの事業所の方は、ぜひお気軽にお問合せくださいませ。

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