日本版ライドシェアはいつから解禁?免許や料金・問題点を徹底解説

ライドシェアは、新しい交通手段の1つ。海外ではすでに普及しており、日本では2024年から試験的な運行が始まりました。本記事では、ライドシェアの基本知識から料金・免許、問題点など分かりやすく解説します。ライドシェアの利用を検討している方は参考にご覧ください。

  • 2024/05/08 公開
  • 2024/11/14 更新

目次

  1. ライドシェアとは?
  2. ライドシェアとカーシェアリング・タクシーとの違い
  3. ライドシェアが注目されている背景
  4. ライドシェアの種類は3つ
  5. ライドシェアを利用する乗客のメリット
  6. ライドシェアを利用する乗客のデメリット
  7. ライドシェアを運営するドライバーのメリット
  8. ライドシェアを運営するドライバーのデメリット
  9. 日本のライドシェアの現状・実施状況
  10. ライドシェアは安全確保が課題!アルコールチェックを導入しよう
  11. ライドシェアに関するよくある質問
  12. ライドシェアの未来と課題


ライドシェアとは?

ライドシェアとは、個人が所有する車両を使って乗客を目的地まで運ぶサービスです。「ライド」は乗車、「シェア」は共有を意味します。近年ではUberやLyftといった大手企業がこの市場を牽引し、世界中で急速に普及しています。

アメリカやヨーロッパでは多くの人々が日常的に利用しており、とくに都市部ではライドシェアの利便性が評価され多くの利用者がいます。



ライドシェアとカーシェアリング・タクシーとの違い

ライドシェア

即時性・利便性がメリット!

  • ドライバーが乗客を乗せ、目的地まで運転する
  • タクシーのように短距離の移動に利用される
カーシェア
リング

長距離・自由な移動に向く!

  • ユーザーが自動車を借り、自ら目的地まで運転する
  • レンタカーのように数時間~数日にかけて利用される
タクシー

営業時間や地域に縛られない!

  • ドライバーに二種免許が必要
  • 業務用車両での勤務が義務つけられている
  • 営業時間や地域に制限がない

ライドシェアとカーシェアリング、タクシーは似たようなサービスに見えますが、実際には異なります。ライドシェアはドライバーが自分の車を使って乗客を運びます。運転はドライバーに任せられるため、乗客は運転しません。

タクシードライバーには二種免許が必要ですが、ライドシェアドライバーは普通免許を持ち、一定の条件が揃っていれば勤務できます。

一方、カーシェアリングは特定の企業が複数のユーザーに対して車を提供し、ユーザーがその車を一定時間借りる形式です。そのため、ユーザーは自分で運転し、使用後には指定の場所に車を返却しなければなりません。

また、ライドシェアは一般的に短距離の移動に利用されることが多いのに対し、カーシェアリングは数時間から数日間の利用が一般的です。ライドシェアは即時性と利便性が高く、カーシェアリングは長距離かつ自由な移動に適しています。

なお、タクシーは営業時間や地域が限定されていないため、ライドシェアやカーシェアリングと違い、いつでもどこにいても利用しやすいのが特徴です。



ライドシェアが注目されている背景

ライドシェアが注目されている背景として、まずは都市部の駐車場不足や、タクシーの供給不足が深刻化していることなどが挙げられます。また、アプリを通じて簡単に車を手配できる利便性の高さも、ライドシェアの人気を後押しする一因です。

これまでライドシェアは「白タク行為」として規制されていました。しかし、2020年以降、新型ウイルス感染症やタクシー運転手の高齢化、円安影響による訪日外国人客の増加で、タクシー不足が発生しました。

タクシー不足の解決を目的として、2024年4月より日本でもライドシェアが一部解禁されています。

出典: 国土交通省|自家用車活用事業の制度を創設し、今後の方針を公表
出典: 内閣府規制改革推進会議 川邊委員資料|タクシー運転手の現状とタクシーに関する事故データ



ライドシェアの種類は3つ

ライドシェアにはさまざまな種類があります。以下で、ライドシェアの種類を3つご紹介します。


TCNサービス(配車)型

TCNサービス(配車)型は、スマートフォンアプリを通じて車両を手配する形式です。利用者はアプリを使って現在地と目的地を入力し、最寄りのドライバーを呼び出します。

ドライバーはそのリクエストを受けて、利用者の元に車を配車します。代表的なサービスとしてUberやLyftが挙げられるでしょう。以前は日本で「白タク行為」として禁止されていましたが、2024年4月から一部地域で解禁されています。

TCNサービス(配車)型のメリット

  • アプリを通じてリアルタイムで車両の位置や到着時間を確認できる
  • キャッシュレスで支払える

◾️ カープール(相乗り)型

カープール(相乗り)型は、複数の利用者が同じ車両に乗り合わせて目的地に向かう形式です。通常、事前にルートや時間を調整し、乗客同士で合意を得た上で利用します。
https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha03_hh_000416.html
同じ方向に向かう人々が車を共有することで、交通費を分担できるのがメリットです。ただし、事前の調整が必要なため、柔軟性には欠ける場合があります。

日本では「notteco(のってこ!)」などのサービスがカープール型として提供されています。

カープール(相乗り)型のメリット

  • 乗り合わせることで交通費を抑えられる
  • 乗車中に他の乗客と交流する機会が増え、コミュニケーションを楽しめる

◾️ タクシーの「相乗りサービス」

タクシーの「相乗りサービス」は、複数の利用者が同じタクシーを共有する形式です。タクシードライバーが、運送開始前にアプリで目的地の近い乗客同士をマッチングさせ、タクシーに相乗りさせる仕組みです。

1人でタクシーを利用するよりも、料金が安くなることが一番のメリットでしょう。

タクシーの「相乗りサービス」のメリット

  • 1人でのタクシー利用より料金を抑えられる
  • タクシー会社が運営するため、信頼性と安全性が高い

出典: 国土交通省|新たにタクシーの「相乗りサービス」制度を導入します!

ライドシェアの料金はいくら?



ライドシェアを利用する乗客のメリット

ライドシェアは乗客にとって多くのメリットがあります。それでは、具体的なメリットについて見ていきましょう。


◾️ 目的地に行く費用を抑えられる

ライドシェアの最大の魅力は、交通費を大幅に節約できる点です。複数の乗客が同じ車を共有することで運賃が分担されるため、通常のタクシー利用に比べコストが抑えられます。

料金が事前に確定するため、予期せぬ追加費用も発生しません。


◾️ 交通の利便性が向上する

ライドシェアの利用により、交通の利便性が大きく向上するでしょう。とくに公共交通機関が発達していない地域や、深夜・早朝などの時間帯に便利です。

また、アプリを使って簡単に車を手配できるため、目的地までの移動がスムーズかつ迅速になります。このため、観光地では観光客向けのサービスとしても注目されています。


◾️ 乗車中のコミュニケーションを楽しめる

乗車中に他の乗客やドライバーとのコミュニケーションを楽しめます。カープール型のライドシェアでは、同じ目的地に向かう複数の乗客が同乗するため、新しい出会いや交流の機会が生まれます。

旅行先でライドシェアを利用する場合、地元の人々と交流できるきっかけになるでしょう。



ライドシェアを利用する乗客のデメリット

ライドシェアには多くのメリットがありますが、デメリットも存在します。ライドシェア利用前に知っておきたいデメリットについて見ていきましょう。


◾️ ドライバーとのトラブルが起こる危険性がある

ライドシェアでは、ドライバーとの間でトラブルが発生するリスクもあります。実際に海外のライドシェアでは、ドライバーから乗客への暴行や強盗などの事件が発生しています。

ドライバーとのトラブルを避けるために、信頼性の高いライドシェアサービスを選ぶことが重要です。


◾️ 運転技術の安全性が懸念される

ライドシェアを運転するのは一般のドライバーです。二種免許を持っているプロに比べて、運転技術や安全運転の知識が不足していることが懸念されます。

ナビゲーションが進化したとはいえ、地理や道路状況に関する知識の不安も残るでしょう。
ライドシェアを利用する際は、事前にドライバーの評価やレビューを確認することをおすすめします。



ライドシェアを運営するドライバーのメリット

乗客だけでなく、ライドシェアを運営する側にも多くのメリットがあります。それでは、具体的なメリットについて見ていきましょう。


◾️ 所有している車を使って収入を得られる

ライドシェアのドライバーの大きなメリットは、所有している車を使って収入を得られることです。自家用車という資産を有効活用できます。

さらに、自家用車を活用すれば、車両の維持費や保険料などの負担を軽減できます。


◾️ 自由度の高い働き方ができる

自由度の高い働き方ができる点も、ライドシェアの大きなメリットです。自分の都合に合わせて働く時間を選べるため、日中は別の仕事をしていても、夜間や週末にライドシェアで収入を得られます。

また、ライドシェアは特定の場所に縛られず、どこに住んでいても働けます。(ただし、ライドシェアが解禁されている地域に限る)自分のライフスタイルに合わせて柔軟に働けるため、多くの人にとって働く選択肢となるでしょう。



ライドシェアを運営するドライバーのデメリット

ライドシェアを運営する側にもデメリットがあります。それでは、具体的なデメリットについて見ていきましょう。


◾️ 事故の発生時に保険の補償を受けられない可能性がある

ライドシェアで交通事故が発生した場合、保険が適用されないケースも考えられます。契約内容によっては、保険の補償を受けられず、ドライバーが修理費用や医療費などを負担しなければいけないリスクもあるでしょう。

こうしたリスクを最小限に抑えるためには、適切な保険に加入することや契約内容を事前に確認しておくことが重要です。また、事故を防ぐために運転前のアルコールチェックも欠かせません。


◾️ 何の補償も受けられずに収入源を失う可能性がある

ライドシェアのプラットフォーム側がサービスを突然停止する場合もあります。サービスが停止した場合、ドライバーは何の補償も受けられずに収入源を失うリスクがあります。

さらに、プラットフォームがドライバーのアカウントを一方的に停止する場合も。この場合、事前の通知や補償がないことが多いため、突然収入がなくなってしまいます。

こうしたリスクに備えるために、ライドシェア以外に複数の収入源を持っておくのがよいでしょう。



日本のライドシェアの現状・実施状況

日本では、一部の地域にてライドシェアサービスが試験的に導入されていますが、まだまだ一般的には普及していません。また、ライドシェアには多くのメリットがあると同時に、ドライバーと乗客の安全性や法的な問題など、いくつかの課題が残ります。

さらに、タクシー事業者以外が参加可能な制度創設を検討していますが、法改正を伴うため、時間がかかることが見込まれます。議論は進められているものの、ライドシェアの本格的な解禁は先送りとなりそうです。

試験的な日本版ライドシェアの実施状況については以下で解説します。

【日本のライドシェア実施状況】


◾️ タクシー事業者が運行管理を担う

対象エリアなどは各地域の事情を鑑み国が定め、一般ドライバーの運行管理はタクシー事業者が担っています。海外で普及しているライドシェアのように、一般ドライバーが気軽にできるわけではなく、自由度は低いです。

タクシー事業者が、「一般ドライバーの教育(運転技術や接客など)」「運行管理(勤怠管理やシフト作成)」「車両整備管理などふくめた運送責任」を担当しています。


◾️ ライドシェアのドライバーは二種免許が不要

ライドシェアのドライバーは、過去に2年間無事故・免許停止などの行政処分がないことが求められますが、二種免許(※旅客を運送する目的で、旅客自動車を運転する場合に必要な免許)は必要ありません。


◾️ 現状はエリアを限定して実施

現状ライドシェアの対象地域は、タクシー配車アプリの対応車両が70%を超える都市部や観光地などです。配車アプリのマッチング率などのデータを基に、都市部や観光地などでタクシーが不足する地域や時間帯を割り出し、国の定める基準を超えた場合のみ運行が認められます。

対象エリアは以下のとおりです。最新情報は、随時国土交通省でチェックしてみてください。

【日本版ライドシェアの対象エリア】

東京都・京都府・神奈川県・愛知県・長野県・埼玉県・大阪府・兵庫県・広島県・宮城県・富山県・千葉県・福岡県・石川県・北海道・静岡県・茨城県・三重県・青森県・岐阜県・沖縄県・福井県・福井県
上記都道府県の234自治体で運行(2024年10月現在)

出典: 国土交通省「日本版ライドシェア、公共ライドシェア等について」


◾️ タクシーと同じ料金体系で、キャッシュレス決済のみ

日本版ライドシェアの料金体系はタクシーと同じです。海外では需要と供給のバランスによって料金が変動する「ダイナミックプライシング」が多く採用されていますが、日本では採用されていません。

トラブル防止のため、配車予約のタイミングで発着地と料金を確定させます。アプリ上で確認できるため、安心して利用できるでしょう。また、支払いは原則キャッシュレスです。



ライドシェアは安全確保が課題!アルコールチェックを導入しよう

ライドシェアは、交通の利便性向上のために今後ますます注目されるでしょう。そんな中、運転者のマナー向上はライドシェア拡大に必要不可欠な要素となっています。

とくに飲酒運転に関しては、社会全体で取り組んでいくことが重要です。現在、緑ナンバー・白ナンバーを一定数所有する事業所にはアルコールチェックが義務付けられていますが、一般ドライバーに向けたアルコールチェックを義務付ける法令はありません。

ライドシェアが本格的に日本に導入されるには、一般ドライバーにもアルコールチェックの機会を設けるなど、積極的に安全性を確保していくことが求められます。



ライドシェアに関するよくある質問

  • Q. 日本版ライドシェアとは?
    A. 日本版ライドシェアとは、タクシー不足を補うために提供されている、一般ドライバーが自家用車を使って有償で人を運ぶサービスです。日本では、個人がライドシェアサービスを開始できるわけではなく、タクシー事業者が主体となってサービスが展開されています。
    また、タクシー不足が進んでいる地域や時期、時間帯のみに限られるなど、試験的に提供されているのが特徴です。日本版ライドシェアについて、分かりやすい解説は以下をご覧ください。

    日本版ライドシェアって?
    ワンポイント解説!

  • Q. ライドシェアはいつから始まった?
    A. ライドシェアは2009年にアメリカで始まりました。Uberが初の大手ライドシェア企業として知られ、現在ではLyftなど他の企業もこの市場に参入しています。
    ライドシェアの登場により、交通手段の選択肢が増え、便利さとコスト効率が向上しています。
  • Q. ライドシェアの問題点は?
    A. ライドシェアの問題点には、安全性の確保、法的な問題、ドライバーと乗客間のトラブルなどが挙げられます。とくに、ドライバーの身元確認や評価システムの整備が重要です。
    また、一部の地域では規制が整っていないため、法的な問題も発生する場合があります。これらの問題に対処するために、業界全体での取り組みが求められているでしょう。
  • Q. ライドシェアと白タクの違いは?
    A. ライドシェアはアプリを通じて合法的に提供されるサービスで、登録されたドライバーが乗客を運びます。一方、白タクは無許可で行われる違法なタクシーサービスです。
    ライドシェアは規制や保険制度が整備されているため、安全性と信頼性が高いのが特徴といえます。これに対し、白タクは法的な保護がないため、利用者にとって比較的リスクが大きいです。


ライドシェアの未来と課題

ライドシェアは、個人が所有する車両を使って、乗客を目的地まで運ぶサービスです。カーシェアリングとは違い、ライドシェアではドライバーが自分の車を使って乗客を運びます。ライドシェアには、ドライバー・乗客ともに経済的なメリットがありますが、安全性や交通事故時の補償などに関するデメリットにも留意しましょう。

ライドシェアは新たな移動手段として、今後ますます注目されることが予想されます。ライドシェアの拡大には、課題解決や規制緩和のほか、ドライバー・乗客両者のマナー向上も必要不可欠です。さらに、ドライバーのアルコールチェック管理は非常に重要なポイントといえます。

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