日本でも一部解禁ライドシェアとは?ドライバーの免許条件や料金・安全性について解説

一般ドライバーが有償で客を乗せて走る「ライドシェア」。これまで日本では、いわゆる「白タク行為」として厳しく規制されておりましたが、昨今のタクシー運転手不足に加え、海外から日本への観光客の急増にともない、都市部、観光地、過疎化の地域などでは、タクシーがつかまらないなど大きな社会課題になっております。
そのような中、2024年4月より、一部の地域で限定的に「ライドシェア」が解禁され、大きくニュースでも取り上げられるなど、新たな移動手段として注目されております。
本コラムでは、日本で一部限定解禁された「ライドシェア」の現状をご紹介します。

  • 2024/05/08 公開
  • 2024/5/20 更新

目次

  1. 1章 ライドシェアとは?
  2. 2章 日本版ライドシェア 「自家用車活用事業」とは?
  3. 3章 2024年6月をメドに新制度? タクシー事業者以外も参加可能に??
  4. 4章 そもそも日本版ライドシェアって便利なの?
  5. 5章 ライドシェアの課題は?
  6. 6章 ライドシェアって広がるの? 
  7. 7章 最後に




1章 ライドシェアとは?

昨今、ニュース等でも話題に挙がっているライドシェアとは?

「ライドシェア」は、一般的には「相乗り」や「配車サービス」となります。日本でもタクシー事業者の配車アプリなどは徐々に広がりつつありますが、「ライドシェア」は一般の自家用車の所有者と自動車に乗りたい人をマッチングする移動手段になります。スマートフォンアプリなどを通じて、乗車したい人は目的地と出発時間を入力すると、ドライバーとマッチングされ、タクシーと同様、目的地にいくことができます。

一般の自家用車を活用することで、新たな移動手段として、地域の交通インフラとして期待されています。また、
交通量を減らす、一人一人の移動コストを削減することなどの効果があるといわれております。


2024年4月より新制度「自家用車活用事業」として「ライドシェア」が、一部解禁

詳しくは国土交通省のHPをご確認ください
自家用車活用事業の制度を創設し、今後の方針を公表(国土交通省) 最終アクセス4月22日

日本では、これまでライドシェアは「白タク行為」に該当するものとして、規制されておりました。

2020年以降、新型ウイルス感染症に加え、タクシー運転手の高齢化に伴い、タクシー運転手が大幅に減少しております。さらに円安影響も含めたインバウンド(訪日外国人客)需要の拡大に伴い、タクシー不足が顕著になってきております。駅前・観光地でのタクシー不足、地方・過疎地でのタクシー運転手の減少、地域路線バス廃止など、交通インフラとして社会問題になっております

出典:タクシー運転手の現状とタクシーに関する事故データ(内閣府規制改革推進会議 川邊委員資料) 最終アクセス4月22日



2章 日本版ライドシェア 「自家用車活用事業」とは?

2024年4月にスタートしたのが「自家用車活用事業」になります。

道路運送法第78条第3号「共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供するとき」を根拠に、タクシーが不足する地域や時期、時間帯において、地域の自家用車や一般ドライバーを活用して行う有償運送を可能とする制度になります。

第1弾は、東京、神奈川、名古屋、京都の一部地域ではじまっております。 以降タクシー事業者が実施する意向がある地域で順次サービス開始する予定になっております。



◆運行管理はタクシー事業者が担う

対象エリアなどは各地域の事情を鑑み国が定め、一般ドライバーの運行管理はタクシー事業者が担う形で始まっております。 海外で普及している「ライドシェア」のように、一般ドライバーが気軽にできるわけではなく、自由度は低いものになります。

運営主体はあくまでもタクシー事業者であり、「一般ドライバーの教育(運転技術や接客など)」、「運行管理(勤怠管理やシフト作成)」、「車両整備管理などふくめた運送責任」を負う形になります。



◆一般ドライバーはタクシー事業者に所属しないと参加できない

過去に2年間無事故・免許停止などの行政処分がないことも求められますが、二種免許(※旅客を運送する目的で、旅客自動車を運転する場合に必要な免許)は必要ありません。

副業も可能で、会社員などが空き時間を使ってライドシェアのハンドルを握ることもできます。一般ドライバーは自家用車を持ち込むだけでなく、タクシー会社の営業車を使うことも可能です。





3章 2024年6月をメドに新制度? タクシー事業者以外も参加可能に??

国は運用状況、業界団体の意見も踏まえ、2024年6月をメドにタクシー事業者以外が参加可能なライドシェア制度の創設に向けたとりまとめを行う方針を示しております。本格的なライドシェア解禁に向け、安全性をどのように確保すれば新サービスとして実現できるか検討されていますが、法改正を伴う改革となるため時間がかかるものと思われます。

第6回 地域産業活性化ワーキング・グループ モビリティプラットフォーム事業者協議会 資料 最終アクセス4月22日

審議会・委員会等(自動車部会:国土交通省) 最終アクセス4月22日



4章 そもそも日本版ライドシェアって便利なの?

現時点では、一部の地域での暫定措置的な対応のため、今後どのように普及拡大するのかわかりかねますが、参入事業者の拡大、料金面でのメリット、利用者視点での利便性向上などを期待されております。



◆現状、地域限定でタクシー事業者次第

  • 新たなサービスはタクシー配車アプリの対応車両が70%を超える都市部や観光地が対象
  • 配車アプリのマッチング率などのデータを基に都市部や観光地などでタクシーが不足する地や時間帯を割り出し、国の定める基準を超えた場合のみ運行が認められる


◆運賃はタクシーと同額、キャッシュレス決済のみ

運賃については、4月に解禁された地域ではタクシーと同額とされているようです。また、トラブル防止のために予約のタイミングで発着地と運賃を確定させ、支払いは原則キャッシュレスのようです。



◆タクシーの配車アプリを利用前提

4月時点ではタクシー配車アプリを入れて利用する形のようです。あるタクシー事業者の場合は、配車アプリを使って、利用者が、「タクシー」or「ライドシェア」を選択できる形になっているようです。



5章 ライドシェアの課題は?



安全性

海外のライドシェアでは、ドライバーから乗客への暴行・強盗なども発生しており、安全性を疑問視する見方もあります。近年、ドライブレコーダーの普及に伴い、タクシー運転手に対する暴行・強盗などのニュースもよく目にすることがありますが、社外全体としてそういった暴挙を許さない啓蒙活動も必要だと思います。

それに加え、ドライバーの飲酒運転や過労運転の防止も重要なポイントになります。



ドライバーの運転技術・知識の向上

二種免許を持っていない一般ドライバーの運転技術に対し、プロのドライバーと同等の信頼感が生まれるのかどうかもポイントです。また、いくらナビゲーションが進化したといっても、地理や道路状況に関する知識への不安も残りそうです。ライドシェアは副業として行われることが多いのでそういった利用者の不安を払拭することも重要だと考えます。



事故時の補償

ライドシェア利用時の事故発生時の保険適用や補償についても明確化が重要になります。4月からのタクシー事業者主体での開始もそういったところを踏まえた暫定措置かもしれません。





6章 ライドシェアって広がるの? 

利用者の利便性次第だと思われます。参入事業者がビジネスとして成立することも不可欠です。国、業界含めた規制緩和含めて、利用者利便性を最重視して議論が進むことを期待しております。



余談ですが、、、フードデリバリーサービスも今じゃ当たり前に!

2016年にフードデリバリーサービスUber Eatsが日本上陸し、2020年の新型ウイルス感染症を契機に、フードデリバリーサービスが急拡大し、今では生活インフラとして普及・浸透してきております。当初は実店舗を持たない形態からはじまりましたが、今では飲食店、コンビニ、ファーストフード店など実店舗でも当たり前のようにフードデリバリーが利用できるようになってきております。このように利用者の利便性が担保できれば拡大していくのではないかと思われます。

地元での同窓会、地方出張、旅行先での飲食後に、タクシー配車アプリを使ってタクシーを呼ぼうとしてもつかまらなかった経験ありませんか?都市部や観光地だけでなく、地方では路線バスの廃止など含め、「運転手不足」「交通の空白」「免許返納による交通の足の確保」が大きな社会問題になりつつあります。

少子高齢化、労働力不足の中、ますます業務効率化などが求められる時代になっております。

自動運転、AIの活用による最適マッチングなど技術進化に加え、ライドシェア働き手と利用者の利便性を担保していくことが求められます。また、規制緩和によるビジネスチャンスの拡大、自由な働き方の浸透などにもつながると期待されています。



7章 最後に

本コラムでは、2024年4月に一部解禁がはじまったライドシェアの現状に関してご紹介しました。ライドシェア規制緩和に加え、運転者マナー、利用者マナー向上もライドシェア拡大には必要不可欠な要素になると思います。特に、飲酒運転に関しては社会全体として絶対に許さないことが重要です。ライドシェアにおいても、アルコールチェック管理は必要不可欠です。ライドシェアのタクシー事業者以外への規制緩和にはそういった、個々の意識、責任感、社会全体としての理解が重要になってきます。

当社では、白ナンバー事業者向けのアルコールチェック管理サービス『スリーゼロ』を提供しております。
100種類以上の検知器に対応し、検査結果を簡単にクラウド管理でき、大幅な業務効率化に貢献できます。
現在、検査結果を紙やエクセル管理していている場合には、直ぐに、安くクラウド移行が可能です。
本コラムをご覧になった方で、会社での社用車管理・アルコールチェック、業務効率化に関して課題を持たれている方おられましたら、お声かけいただければ幸いです。



アルコールチェック管理サービス『スリーゼロ』

https://alc.aiotcloud.co.jp/


「ライドシェア」など新しい規制緩和、日本社会にあった発想・考え方で、利用者利便性を最優先に、普及拡大していくことを期待しております。

以上